〜アイルスト騎士団強化計画7〜 ページ19
Aによって始まった訓練は、予想以上にハードなものとなるのだった。
「ぐあぁッ!?」
「おい、シュルフ!?ぐあッ!」
「一方が気を抜けば双方やられるぞ!」
光の剣は体を突き抜けさえすれど、実際には傷をつけない。しかし痛みは伴い、それによる悲鳴が絶えない。
「Aさん…こ、これは…」
「振り返ったら仲間が手を抜いてましたって状況で、本気で戦えるか?任せた、といえる仲間こそ、強者に打ち勝つ術だ」
「…なるほど。あなたの考えは我々では到底及びませんでした」
「いや、そんなことはないだろ。実際考えは及んでると思う。ただ、ここまでできる素質があるのがディアドラだけで、そのディアドラは優しいからここまではしない。なら、事実上不可能だ」
「吾のせいだ、といいたいのか?」
「…いたのか、スカーサハ」
いつの間にかAの隣にいたスカーサハにAは視線を向ける。一方のスカーサハもAの顔を見る。
「…ずいぶんと派手にやっておるな」
「死にはしない。怪我もしない。この訓練で得ることは、仲間の大切さか仲間の弱さを知ることだ」
「…」
ふと、スカーサハに服を引っ張られ、顔を向ける。すると水の入った袋を渡されるのだった。
「顔色が悪いぞ」
「…へぇ、真龍様はずいぶんと目ざとい」
「からかう前に水分をとれ。多くのものを顕現するのはAにとって負担が大きいと聞いた」
「誰がそんな入れ知恵を…」
「この国に来る高尚な天司様だ」
「あの心配性め…」
思い浮かんだミカエルの顔に頭の中で精一杯舌を出す。しかし、体力の消耗が激しいことは否定できず、いったん休憩をはさむことにする。
「…い、いってぇ」
「大丈夫か?」
「てめぇ!何で剣をよけてんだよ!」
「仕方ねぇだろ!?俺だって痛いのはゴメンなんだよ!」
「すまない、俺が目を離したせいで…」
「かまわねぇよ!次はちゃんとやろうぜ!」
様々な反応がある中、多くの声を占めているのは怒声だった。なぜ、どうして、という問いかけから、相手を見下す言い方までさまざまある。
「…ずいぶんと団の様子が荒れましたね」
「…はぁ」
ため息を吐くAは、呆れたようにやり取りを眺めていたが、立ち上がると今にもつかみ合って喧嘩しそうな騎士達の元に向かう。
「何をする気だ?」
「まあ見ていましょう。Aさんにも何か考えがあるでしょうし」
「…いや、そうは見えませんが姉上」
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ミレン(プロフ) - 名無しさん» 完全趣味作品にコメントありがとうございます!できうる限りリクも受け付けてるのでお気軽に! (2019年5月18日 20時) (レス) id: 093f8fec1a (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続きが楽しみです更新頑張ってください (2019年5月18日 12時) (レス) id: af5f93c29d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御煉 | 作成日時:2019年4月5日 23時