〜アイルスト騎士団強化計画6〜 ページ18
「この国の騎士団に足りていないのは大きく2つ。まずは実戦経験。圧倒的に王族二人とノイシュ以外の経験が足りないせいで、足を引っ張り合ってる。ま、もう一つ文句を言うならもう少し指揮官がしっかりしてほしいところだ。二つ目は覚悟だ」
「覚悟…ですか」
「僕の戦力を推し量るだけの力はあるけど、本来の騎士の意味を忘れてる。戦力で大きく劣る相手に、背を向けたり逃げ腰では騎士団の意味はない。まだそれなら無鉄砲なバカのがマシだ」
辛口の評価に騎士はうなだれる。ノイシュでさえ、Aのバカの方がマシだという言葉に考え込まされていた。
「ま、安心していい。僕が鍛えるんだからな」
「「…」」
すっかりおびえ切った騎士団に余裕の笑みを向けるA。その周りには光の剣が浮かび上がっているのだった。
「今からやるのは、騎士として最も大切な事を鍛える事だ。ノイシュ、騎士として何が大切だと思う」
「先ほどAさんの言っていた…守る、ということでしょうか?」
「そうだ。そして同時に仲間を信じ、背を預けることだ。だからそれを手っ取り早く鍛える為に、今から二人一組のペアを作ってもらって、その背後からこの剣で攻撃をする。お互いの背を守り続けることができればクリア。失敗すると、まぁ死ぬことはないが地獄は見る」
「「…」」
もはや戦意喪失している騎士達にAは舌打ちする。
「ったく…もうわかってると思うけど、僕はこの島を守りに来たっていうミカエルの仲間で天司。つまり星晶獣の中でも上位に存在する種族であり、さらにその天司の中でも先頭に関しては一番強いの」
Aは騎士の顔を見ながら歩き回る。不意に一人の騎士の前に立つと、剣をつきつける。
「お前が守りたいものはなんだ」
「お、俺が守りたいのは家族だ!」
「家族、か。具体的に?」
「5歳になる娘と…ずっと支えてくれる妻がいる!」
「そうか。その娘と妻に、僕が剣を向けたらどうする」
「…あんたから、守る!」
「そうだ。今この中には多くの奴らがこの騎士同様に守りたいものがあって騎士団に入団しただろうと思う。その者に僕が刃を向けて、平気でいられる奴はいないだろう。いるのだとすれば出ていけ。ここには必要ない。そして、ここにいるのなら、戦え。人間を強くするのは想いの力だ、と言うぐらいだ」
Aは右手を高く掲げると、光の剣を騎士団の周りに漂わせるのだった。
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ミレン(プロフ) - 名無しさん» 完全趣味作品にコメントありがとうございます!できうる限りリクも受け付けてるのでお気軽に! (2019年5月18日 20時) (レス) id: 093f8fec1a (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続きが楽しみです更新頑張ってください (2019年5月18日 12時) (レス) id: af5f93c29d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御煉 | 作成日時:2019年4月5日 23時