Episode5 ページ18
「おかしな気の張り方をしてないようで安心したわ」
「…ようやく、だったけどね」
「随分とAには優しいのね」
「一度こっぴどく悪口をどっかの誰かさんには言われてるのでね」
「あら、まだ覚えてたの?」
「…いや、あの時は本当に愚かだったと思ってるよ」
ポツリとつぶやくサンダルフォンの声に、深い後悔が含まれる。その一番の原因がAとルシフェルであることは容易に想像できるのだった。
「でも今は認めてるわ。私も、ミカちゃん達も」
「はは…ありがとう。さぁ、Aを部屋に連れていくよ」
「そう。あなたも休んでね」
「…あぁ」
Aが目を覚ますまで休む気がないのはわかっててガブリエルは声をかける。Aを抱きかかえて部屋を出ていくサンダルフォンの背を見て、ガブリエルは小さく微笑む。
「ほんと、似た者同士よ。あなたたち…」
ベッドにAをおろすと、備え付けの椅子に座る。穏やかに眠るAと、先ほど苦し気に泣いていたAを思い出す。
「随分と、俺も心配をかけたが…君ほど周りから心配をされる者はいないだろうさ」
日が落ちきった空は、いずれくる夜明けを際立たせるかのように、暗く淀む。もう二度と辛い想いをAにはしてもらいたくない一方で、Aがいなければ出来なかった事のが多い事実に腹がたつ。
(幽世でもなんでも、俺達の平和を壊す奴は殲滅する…ッ)
日が昇り、暖かくなった頃、物音でAは目を覚ます。
「…何が」
慌てて飛び起きて警戒をすると、布団じゃない重みを感じる。
「…サンダルフォン」
ベッドにもたれかかって眠るサンダルフォン。その手には本が握られており、その本が閉じた音で目を覚ましたことに気が付く。
「あんまり普段読まないくせに…そうまでして気を使われるとは」
申し訳なさと、再びこうしていられる幸せを感じる。そして同時に、その幸せを奪う者に腹を立てる。
(ぜってぇ…許さねぇ)
サンダルフォンを起こさないようにベッドから抜け出し、なんとかしてサンダルフォンをベッドにあげる。剣を片手に甲板へと向かうと、すでに目的の人物は剣を握っていた。
「来たか。待っておったぞ」
「行く、なんて一言も言った覚えはないんですが」
「…ふん、わかっておるわ」
Aがいてもたってもいられなくなることを知っているミカエルは、苦笑いしつつ剣を抜く。
「…一勝負、胸をお借りしたい」
「受けてたとう」
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ミレン(プロフ) - よせふさん» おおお!ありがとうございます!家に帰ったらすぐ取りかからせて頂きます!もし気に入っていただければまたリクエストください! (2019年4月2日 11時) (レス) id: 62a512f1a1 (このIDを非表示/違反報告)
よせふ(プロフ) - はじめまして、もしよろしければルシフェル様とサンダルフォン、主人公の3人が中庭でほのぼのしているお話が見たいです…!二人と仲良しな主人公が見たいです!ぜひ!!ご検討ください!! (2019年4月2日 1時) (レス) id: f12f54b1ee (このIDを非表示/違反報告)
ミレン(プロフ) - 大真面目にコメントください (2019年4月2日 0時) (レス) id: 62a512f1a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月29日 23時