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「…ほう、理由を聞いてもよいか？」
『私は私を知りません。そればかりか私が知らない人の方が私をよく知っているようで、そんな人たちから不安を与えられるのは不服だと強く思いました』
王は何も言わずに瞳を伏せた。
『私はこの国が好きです。このまま一生この国でずっと生きていきたいと思っていました…。でもそうはいかない状況になり、図々しいのはわかっているのですが、いつか帰ってきたいとは思っています』
仕事を辞めるのではなく、休む。いつ戻れるかもわからない旅になってもきっと帰って来る。私には今の所そう言うものではないと希望を見つけることができない気がした。
不安と恐怖で押しつぶされそうになりながらも、いつか旅が終わってフェードラッヘに帰って来ることができたら…、きっとその時の私は今よりももっと…。
「A」
『はい…』
「辛い決断だったろうが、Aの旅の無事を祈る」
そう区切ったカール王は私の目の前に立って手を取った。
「A考え抜いたことだとわかってはいるが、旅の終わりを焦らせたくは無い。君の場所は予備にでも空けておくから一度この国からしがらみを取り払いなさい」
『それ、は…』
それは、休むのではなく…辞めろと言うこと。揺れる私の瞳を王は見据える。
「Aには輝く未来がある」
『！』
その言葉は今の私にとって何物にも変えがたい言葉だった。その言葉だけでしがらみを取り払えと伝えた王の真意が伝わるようだった。王がくれた言葉が私の心の枷をどれだけ軽くしてくれたか。不安と恐怖で押しつぶされそうな気持ちが一気に綻ぶような…。
『ありがとうございます…』
終わりを焦ることなく、全てが終わったらまたふらりと帰って来なさい。焦らず、焦らずにだよ。
カール王の暖かな思いが私にしみると同時に涙が一筋頬を濡らした。それは出発を焦る私をなだめるようにゆっくりと落ちて行った。
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きりにあ(プロフ) - 花簪さん» 花簪さんコメントありがとうございます！四騎士最高ですよね！私のキャパが足りないので4人からハーレムとかは書けないのが悔しいですが、亀ながらに更新頑張ります！読んでいただき感謝です！ (2018年7月17日 0時) (
レス) id: a8216c96e8 (このIDを非表示/違反報告)
花簪(プロフ) - ランスロットとパーシヴァルが居て本当に嬉しいです！主人公の設定も凄く良くて面白いです！更新是非頑張って下さい！応援してます！ (2018年4月15日 22時) (レス) id: eb9e166c49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりにあ | 作成日時：2017年9月4日 0時
