79 ページ29
『あれ…？』
二回ノックをしたけど大きな物音が一回してから何も聞こえなくなった。何かが倒れたんだと思うけど、いいのかな開けても…。
恐る恐る扉を開けると見事に積み上げられた箱材たちが崩れに崩れ、かろうじて住人を見つけるも崩れた箱材の下から突き出た手のみだった。
『大丈夫ですか！？しっかりしてください！』
１つ１つの箱をやや乱雑にどかしてその手を引くと、意外と逞しい手も私の手を握り返してなんとか箱材の中から顔を見せた。
『…………えっ…？』
「………な、…」
お互い目の前の人物を見て目を見張った。確か目の前の相手は夕べ別れと再会の約束をして…。
そういえば見送りにはいなかったな…。忙しいから来れなかったんだろうと思っていたけどもしかして最初からこの艦に…？
なんてお互いが同じことを思っているとは露知らず、手を握り合ったままの2人の表情は驚きを余韻に笑顔へと変わって行く。
『ランスロットさん！！まさか、こんな偶然があったなんて…！』
ﾗﾝｽﾛｯﾄ「ああ、まさかAが旅立つのがグラン達とだなんて思わなかったよ」
よいしょっと立ち上がったランスロットさんはもちろん甲冑の着用はしてなかったけれど、やはり一国の騎士団長。その立ち上がりの身のこなしはほとんど私の手なんかいらないほどだった。
箱材に埋まっていたのは何かの間違いだったのかもしれないと思いながらも、ランスロットさんは私の手を握ったままにこやかに笑った。
ﾗﾝｽﾛｯﾄ「Aと旅に出れるなんて思っても見なかったな。約束通り、今度またお茶でも飲もうな」
『はい！…あっ、私今回引越しの挨拶に来たんでした！良かったらこれ』
プリザーブドフラワーを差し出すとランスロットさんは「また花言葉調べなきゃだな」なんて笑って受け取ってくれた。
こんなに嬉しい偶然があっていいのだろうかと逆に不安になりそうだけれど、そんなことも霞むくらいに今はこれからの旅路が楽しみでならなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きりにあ(プロフ) - 花簪さん» 花簪さんコメントありがとうございます！四騎士最高ですよね！私のキャパが足りないので4人からハーレムとかは書けないのが悔しいですが、亀ながらに更新頑張ります！読んでいただき感謝です！ (2018年7月17日 0時) (
レス) id: a8216c96e8 (このIDを非表示/違反報告)
花簪(プロフ) - ランスロットとパーシヴァルが居て本当に嬉しいです！主人公の設定も凄く良くて面白いです！更新是非頑張って下さい！応援してます！ (2018年4月15日 22時) (レス) id: eb9e166c49 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きりにあ | 作成日時：2017年9月4日 0時
