Episode9 ページ10
「…少年、今から必ずいいというまで目を開けるなよ。約束できるか」
「う、うん…」
本来の姿である羽をはやし、一気に上昇する。島民たちのいる島にはグランサイファーがおり、避難を開始していた。
「まにあった…」
なんとか島にたどり着き、少年を下す。
「もう、いいぞ」
「ありがと――――え？」
少年を下した瞬間に体力が尽きてしまい、島から真っ逆さまに落ちてしまう。
「やらかした…さすがに底から上がるのは骨が折れるぞ。こんなことなら…もう一度あいたかったなぁ…サンダルフォン」
ゆっくりと目を閉じると、不思議なことに落下が収まる。
「え…？」
「間に合ってよかったわ。ちょっと棘が痛いでしょうけど我慢して頂戴ね」
「みんな…」
「ふふ、みんなあなたを頼ってここまできてくれたのよ？」
ロゼッタは、小型の船に乗っており、それを操るのはラカム。
「なんで…」
「あなたが助けて少年が大声で叫んでいて、あなたの姿が見えないってことで操舵士さんがここまでかけつけたのよ」
「へへっ、びっくりしたぜ。さぁ、帰るぞ」
「あぁ…ありがとう」
間一髪救出され、無事に団員の元へと戻る。
「A」
「どうした？」
「君もこの船の仲間なんだ。もう心配かけちゃだめだよ。みんなで助け合うんだ」
「…！あぁ。すまなかったよ」
「さて、ここからは各自別行動だ。ラカムたちはここで残って調査を、イオはフレイメルにもう向かってる。君はどうする？」
「君についていくよ。どっちにしろ、しばらく役に立ちそうもない」
「わかった。それじゃ、行こうか」
グランに続いてAも小型艇に乗り込む。向かう先は本のある場所だということで、しばらく休むことにする。
「Aさ〜ん！」
「なんだ、蒼の少女」
「もー、その蒼の少女ってやめねぇか？」
「赤き竜…僕は別になれ合うためにいるわけじゃないんだ」
「でも、仲間だろ？」
「…君たちは知らないかもしれないけど、君たちは大いなる運命を背負ってるんだ。そう、まさに特異点。僕は今あるこの現状を打破するために同行してるんだ」
「ちぇ、なんだよ〜」
「あはは…でも、男の子を助けに行ったんですよね？なら、きっとAさんはいい人です！」
「人…か。人間はおもしろいな。で、お前たちは何しに来たんだ」
「あ、そうそう！珈琲がお好きなんですよね？叡智の殿堂につくまで飲みませんか？」
「…いいね」
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年3月3日 20時
