Episode8 ページ9
そこからは、すんなりと団員にも受け入れられた。船の上には多くの獣も乗っているようで、どこかの騎士や王族、村人など多種多様な仲間がいた。
「あなたは…見た限りでは普通の獣とは違うみたいね」
「僕は…失敗作なんだ。まぁそれ自体は特に悲観には思ってないよ」
「そう…」
「自分で役割を決められるから…ね。今は君たちといること、そしてこの団を導くことが僕の使命だ」
「ふふっ、ずいぶんと頼もしいわね」
「あぁ…そうだな。次はどこに行くんだ？」
「そうね…ポート・ブリーズでしばらくは依頼をするっていっていたわね」
「そうか、あの島は風が戻ったんだった。なら、僕でも手伝えそうだな」
「そうね。頼りにしているわ」
ロゼッタと別れ、甲板をあとにする。部屋は以前と変わらない場所で、何もなかった部屋にはいろいろおいてあった。
「この船も、活気にあふれているな」
目を閉じ、眠りにつく。翌日、ポート・ブリーズにたどり着くと団員は各々依頼をこなす。Aは小さな島で発生した魔物をラカムとともに討伐をする依頼に出た。
「しかし、お前さん…ずいぶんと強いな」
「これでも一応、獣なんだ」
「まぁ、そうだが…ティアマトの力よりもすげぇっつーか…」
「ははっ、それは買い被りだ。さぁ、次に行こう」
次々に倒すうちに、違和感を感じる。
「…操舵士、なんか変じゃないか」
「あ？いや、別に…」
「おかしい。さっきまでいた島がない」
「なっ！？本当だ…」
ふと、地面が揺れだし、悲鳴が上がる。
「きゃー！！」
「ママー！」
異常事態を察知し、ラカムを少し大きめの島へ向かわせ団長へ連絡をとる。
「お前さんはどうするんだ！？」
「僕はこの島の人間を助ける！グランサイファーを任せた！」
「あ、おい！」
動ける人間を島へ誘導し、落下する前にほぞ全員を移動し終える。
「これで…全部か？」
「うちの子がまだ！！」
「なっ…」
「もう島がもたない！」
「いやぁ！」
「く…」
落ち始めた島へ飛び移り、探し回る。背後では住人が母親を抑えているようで安心する。
「返事をしろ！どこだ！」
「助けて！！うわーん！」
声のしたほうへ駆け寄ると、ぬいぐるみを抱きかかえた少年がいる。
「…よくがんばった。さぁ、こっちへ来い」
「ひぐっ…ありがとう」
少年を抱きかかえ飛行するが、浮力消失寸前の高度で飛行がままならない。小さな小岩をよけながら進むのは限界だった。
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年3月3日 20時
