Episode49 ページ50
「ええ！？」
Aの背に生えたのは白色で、なんの色にも染まっていなかった。
「じ、じゃあ…黒い羽は…？」
「あれは闇の元素をコアにしたときだけだ。もともと僕は役割も何もないからね。元素どころか何も司ってないし、ある意味レアな天司だよ。まあ、その代わり何の元素でも扱えるけどね」
「なんでも、ですか！？」
「ああ。だからこそ、羽の色も変えれる。たとえば、火なら…」
赤色に羽が染まり、一気に熱を帯びる。
「まあ、攻撃力特化だね。でも基本的にはルシフェル様の元素を扱ってたから闇がおおいね。そこのサンダルフォンに光の元素を突っ込まれたから実質、なんでも扱えるってわけ」
「なら、実質最強じゃない！」
「そうとも限らない。もともとは他人の力だから制限が多いんだよ。体力が切れないようにって思ったら無属性が一番だからね」
「あ、そっか…」
談笑をしながら上空へと船は舵を切る。団員たちは災厄からの復興記念祭の途中で事件を知ったらしく、街の様子を見に行くこととなった。
「…サンダルフォン？」
「なんだ」
「珈琲飲むか？」
「ああ、もらおう」
カップを差し出すと、口につける。
「…この味は」
「あの繭の中にあった珈琲豆だよ。どうやら持ってこれたらしい。今は特異点にお願いして鉢植えしてるよ」
「君も、相変わらずだな」
「何が？」
教えない、というとAは拗ねたようにそっぽを向く。
「いずれ、わかる」
数日後、復興記念祭はポート・ブリーズで無事再開を果たす。団員たちがそれぞれ楽しむ中、Aとサンダルフォンは船にいた。
「お前はいけばいいんだぞ」
「主を放っていく副官がどこにいる」
「何を言われても俺はいかないぞ」
「うわ…」
いやそうな顔をしたAだが、すぐに笑い出す。
「何がおかしい」
「変わらないな、と思って」
「仕返しか？」
「さ、どうだろうね」
そんな中、グラン達が船に戻ってくる。
「ん…まだ出発しないのか特異点」
「あのよぅ…その呼び方、なんとかなんねぇのか？呼びづれぇんじゃねーか？」
「フン…呼びづらいのは事実ではあるが。善処しよう」
「Aは呼んでくれたよ！」
「ん…そうだっけ？」
「団長殿、って！」
「あぁ、あれは…そんな雰囲気ってやつだ」
「うわぁ、姉ちゃんにサンダルフォンの悪影響が移っちまったぜ」
「何を言ってんだ。俺がひねているというなら、こいつが原因だ」
「うわ、責任転嫁！？」
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年3月3日 20時
