Episode43 ページ44
「でもやりましたね!あの怪物を倒しちゃいました!」
「天司長様の御業だよ。それに、Aの力。でも、まぁ…見事だった」
「ウフフ、そうね♪でもあの力は完全に消えてしまったの?」
「どうだろう…僕はルシフェル様の力を拝借しただけだし…」
「時間が経てば戻るのでは。確証はないが、そういうもの―――」
ふと、サンダルフォンは言葉を止め、ハッと振り返る。同時に、Aは剣を抜いており、アバターの沈んだ天国の門を見据える。
「待てッ!この気配は…まだ終わっていない!」
「クソ…やり損ねたか…ッ!」
アバターはうめき声をあげ、赤くまがまがしい力を集約する。
「なんだと…?まずい、この船を狙っているぞ!」
「で、でも、なんなの…?こっちを睨んだまま止まってるけど…」
「力を溜め込んでいるみたいね!物凄い力よ…複数の島を滅失できるほどの…!」
「全速前進だ、ラカム!なんとしてでも回避しろぉ!」
「任せろ!こうなりゃ可能性に賭けるしかねぇ!」
アバターはじっとサンダルフォンとAを見据える。
「まさか…僕達か?」
「狙われているのは俺達だ…!君達は前に進め、俺は逆の方向に―――」
「うっせぇ、黙って力を蓄えてろ!空の民の力ってもんを見せてやるよ!」
「空の民の力…?」
「あぁそうだ!お前が思ってるより俺達はなぁ―――」
船を浮力消失高度にあるカナンまでたどり着かせるため多くの空の民が結託したことを思い出す。
「ははは、違いねぇ!空の民はいつだって、無茶を可能にしてきたんだ―――」
船を強化するにあたり、さまざまな人々が協力をしてきた。
「そうよ!ひとりひとりは弱いかもしれないけど、みんなで頑張れば怪物にだって――」
船を動かすために、多くの魔導士が力を注いだ。
「皆を信じろ、サンダルフォン。後で必ず君の力が必要になる」
「……」
「ハハ…さすが、ルシフェル様の愛した空の…住人だよ。そう…だな」
「来るわ…!あの黒き光が放たれる…!」
大きく咆哮を轟かせ、光が放たれる。
「奔れッッッ!グランサイファーぁぁぁ!」
ラカムの声に応えるかのように船は速度をあげ、光の軌道を切り抜けた。
「やったぜ!さすがオイラ達の自慢の船だぜ!」
「はい、すごいです…ありがとう、グランサイファー!」
「空の力、か…しかし、若干軌道が変わったようだが…」
「A…?」
グランがあたりを見回すと、今までいたはずのAの姿は見当たらなかった。
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作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月3日 20時