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Episode38 ページ39

「何故だ…何があったというんだ!?」
『誰か…いるのか…?』
「ルシフェル!俺だ、サンダルフォンだ!Aもいる…!」
『私は五感を失った。何も見えず、何も聞こえず…故に方法を吟味する余裕はない』
「なんだと…?誰がアンタに…再生は…!?」
『カナンにたどり着いた者よ。君、あるいは君達に頼みたいことがある。サンダルフォンという者に、私の言葉を伝えて貰いたい。天司長の座と力を君に継承すると』
「……ッ!」
『私達は災厄の罰を受けねばならない。故に私は滅び、君は空の世界を守るために生きるのだ。生き続けて、いつか天司長としての最後の務め…《ルシファーの遺産≫を破壊してほしい』
「何を…何を言っている…?」

ルシフェルの言葉を受けきれず、さらになぜルシフェルが罪を償うのかわからずにいら立つ。

「災厄は俺の…どうしてアンタはいつも…!勝手に背負って勝手に決めて勝手に…死ぬな!」
『≪ルシファーの遺産≫は邪悪だ。空の世界にとって、創生以来最大の脅威となる。ルシファーから奪い、封印していたがこうなっては覚醒も近いだろう。だから、どうか…全て終わった暁には、君の役割は君自身が決めるといい。空の世界は常に進化を遂げている…私達天司もまた役割を自然に還元して、ただの命として生きる事も良いだろう』
「世界、世界、世界…!そんな事はどうでもいい!俺に天司長の力を与えてみろ!その世界を滅茶苦茶にしてやるぞ!それが嫌なら―――」
『ゥ…ア…』
「お、おい!ルシフェル!?」
『もう…時間は限られているようだ…』
「……ッ!どうして最後まで…世界のことより、自分のことは厭わないのか!アンタ自身の言葉はないのか!?なあ!!」

サンダルフォンの号哭に、Aの目がうっすらと開く。

「…んッ…あれ、ここは…」
「ッ!?A…」
「サン…ダルフォン…?」

Aに駆け寄るサンダルフォンの腕には、ルシフェルの首が握られており、Aの顔が引きつっていく。

『…伝言は以上だ、頼む』
「…今の…」
「…」

最後の言葉を聞き終えると同時に、Aが崩れ落ちる。そんなAの様子にただ何も言わずに寄り添う。

「…僕が…僕が…!!」

自分を責めるように首を抱きしめたAに、間に合わなかったのだと気づく。そして、Aの傷はいえても、大きな傷を負ったことも。

「僕のせいで…すみません…ゥウッ…」

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作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月3日 20時

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