Episode24 ページ25
「どけ！」
「A！？」
「…A」
ミカエル、ウリエルが飛び立とうとした瞬間に押しのけてAが空の底へと落ちる。サンダルフォンは、うろたえ、膝をつく。
「あのバカ…！あの体力じゃあいつも…！」
「だが、もう妾達では…ッ！」
意を決して二人とも空の底へと身を投じる。サンダルフォンはラファエルが拘束をする。
「愚かな真似を…この期に及んで何の意味がある？」
「フ、フフフ…俺を必要としない空の世界など、無茶苦茶になってしまえばいい」
「幼稚ね…貴方の思考には反吐が出る」
「うぅ…グラン、A…」
「クソ、なんてこった…天司でも自由落下の速度には…！」
その間もルリア、ビィは空の底へと消えた二人を必死で探し続ける。何かできることがないか、もう一度一緒に旅をしたいと願う二人の力に、世界が鳴動を始める。
「この鳴動は…！かつてザンクティンゼルで起きた…」
「フハハハハハッ！いいぞ、再び大いなる咆哮が響き渡る！この鳴動が封印を解き、あらゆる原初の星晶獣を世に放つのだ！」
「よせ…力を発現してはならん！今はAが伏魔殿におらんのだ！」
「このままだとサンダルフォン同様、邪悪な星晶獣が空の世界を食い潰すわ！それだけは…絶対に防がなくては！」
「…っ！」
「で、でも、オイラたちは…！」
天司の言葉に二人は戸惑う。しかし、その二人の肩をそっと支えるものがいた。
「ルリア、構うな！グラン達を救えるのなら…君たちは出来ることを精一杯やるんだ！」
「カタリナ…！」
「派手にやっちまえ！原初獣だかなんだか知らねぇが、俺たちがキッチリ後始末してやる！」
「ラカム…！」
「がんばって、ふたりとも！何が起きても、みんなで解決しましょ！」
「そういうこった。昔の連中が残した負債なんか、若ぇもんが気にするこたねぇ！」
「ふふふ…その通りね。後のことはアタシたちに任せなさい！」
二人はうなずき合い、覚悟を決めて内なる衝動に身を任せた。徐々に膨れ上がる力に、みな固唾をのんで見守る。
「「…！」」
突如、爆発的な力が起こり、一面に光が立ち込める。異常なほどの力に、天司でさえ、立っているのがやっとであった。
「な、なんだ…！」
「鳴動が…」
「く…もう手はないのかしら…」
「見守るしかあるまい…人の子と、われらの仲間を」
「…いっけぇぇ二人ともー！」
やがて、空の世界に轟くほどの咆哮が鳴り響き、轟音とともに光が破裂した。
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年3月3日 20時
