Episode17 ページ18
「ウフフ…さすがに、ちょっと痛かったわね」
サンダルフォンの目論見を阻止する代償に、ガブリエルは羽を失う。だが、サンダルフォンは余裕の笑みを崩さずにいた。
「まあいい。Aもいることだし、そこまでは支障はない」
「A…？」
「なぜ僕の羽をとらない！？なぜ…僕の言葉を！！」
「お前は役割がないんだろう？そんな奴の羽など、弱体化するだけさ」
「ぐ…ッ！」
剣を握り、力を込めた瞬間に、グランとビィの気配が近寄っていることに気が付く。
「ミカエル、ガブリエル！凄ぇ音がしたけど大丈夫か！？って、Aもいやがる！」
「あ、こ、この男は〜…！やっぱりあなたが災厄の…！」
「ああ、生きていたのかい？そうか、君らが四大天司に協力を？道理でガブリエルがコソコソと―――」
ふと、サンダルフォンの目線がビィに向く。
(まさか…あいつの羽を…！？)
「ハハハ…ここで赤き竜とは…まさに君は俺の福音だ！吉と出るか、凶と出るか…その羽を組み込んでみることにしよう」
「ゥヒッ！？な、なんだって…？おいらの羽を奪うってのか！」
「馬鹿な…狂っている…そこまでして天司長を超えたいのか…？」
「もし裏目に出たら…まさか天の世界の創造が目的ではない？」
「苦しむことはない。黙っていれば一瞬で済む。さぁ、寄こせ―――！」
「ビィ！！」
サンダルフォンがビィへと急接近し、間にAが飛び込む。そして、同時にルリアも飛び込んできていた。
「ビィさん！」
「あ、蒼の…ぐっ！？」
サンダルフォンは、二人共を抱え空へ浮上してしまう。
「これはこれは…赤き竜を捕らえたつもりだが、蒼の少女が釣れてしまった。しかも、Aつきだ。君は少々厄介だ」
「…ッ！うぐっ…」
「ひゃあ！Aさん！」
サンダルフォンの一撃がAに入り、気を失ってしまう。
「ひ、ひどい…」
「今日は本当にツいてない…幸運を司る天司は誰だったか」
「おい、ルリアと黒い姉ちゃんを離せ！お前の目的はおいらの羽だろ！？」
「…土の島に来い。そこで赤き竜と蒼の少女を交換しよう。対価は、そうだな。君らを天の民に選んでやってもいいぞ。竜とともに世界の滅亡を見るか、少女とともに新世界を生きるか。…賢明な判断を期待している」
「グラン…！私、ちゃんとやれたよね？ビィさんを守ることができたよね？こんな私でも、最後に役に立てて―――」
「ルリアァッ！」
「A！クソ…」
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年3月3日 20時
