Episode10 ページ11
「へぇ…人間はこうして飲むのか」
「あと、こうして…はい!これはルリア特製、ロイヤル珈琲です!」
「す、すまない…さすがにもうこれで最後にしてくれ」
「あ、すみません…」
「ごちそうさま。騎士はいるか?」
「カタリナですか?外にいると思います」
「呼んできてくれないか」
「はい!」
以前から警戒をされていた騎士と話をするためにいくつかの話を想定する。ベッドから起きることを許さない団員は、Aの望み通りカタリナを連れてきた。空気を読んでか、カタリナ以外は席を外した。
「なんだ…話というのは」
「ずいぶんと警戒されてるんだな…うん、それでいい。さて、本題に入ろうか。君は帝国から逃げた騎士で間違いないか?」
「あ、あぁ…」
「蒼の少女は…なぜ帝国にとらわれていたんだ?」
「知らない。知っていても教える必要はない」
「そうか。先ほど、蒼の少女たちにも話したが、特異点としてすでにこの船は動いている。未曾有の危険が押し寄せている。それが僕の知っていることだ。そして、それを防ぐために僕はいる。だからこそ、頼みがある」
「…なんだ」
「稽古をつけてもらえないか」
「…え?」
驚いた様子の騎士は、しばらく考え込むと了承した。
「構わない。だが、君はけがが…」
「星の獣をなめてはいけないよ。今夜にでも動けるだろう」
「なぜ、私を?」
「信念をもっているからだ」
きっぱりと答える。
「…わかった。では、団長にも話を通しておくよ」
「あぁ。ありがとう」
それだけいうとカタリナは部屋から出ていく。
「心配しているようだけど、僕はそこまで好戦的ではないよ」
「ばれちまってたか〜」
「はわわ…すみません」
「構わないよ。少しの間、眠らせてもらうよ」
「はい!おやすみなさーい!」
今度こそ、完全に部屋から気配がなくなる。窓の外を見ると、見慣れた姿がいた。
「ハー、マー、待たせたね」
「特異点たちとはずいぶん親しいようだね」
「ミカエルか?伝達は」
「あぁ。世界中で災厄が起きている。ウリエル様も…狙われた」
「なっ!?」
「相手がだれかはわかっていないみたいです〜」
「わかった。僕は…とりあえず特異点と旅を続ける。ミカエルに伝達を頼めるか?」
「ええ?あ、あぁ…」
「災厄の正体が天司だった場合、羽を返せと」
「ちょ、ちょっと!それはさすがに…」
「伝えるだけでいい。頼む」
「は〜、わかったよ…」
「マーちゃん…しょうがないわね〜」
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作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月3日 20時