被験体少女はしにたいようで。【wrwrd】 (ページ19)

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部屋のダクトから覗き込んで、俺は一目で確信した。

俺があった女の中で、まず1番可愛え。

まだ齢わずかにして、もう"美しさ"を持っている。

真っ白な肌と髪の毛、紅い目。

俺が大先生なら、すぐさまここから飛び降りて、彼女をナンパしてたやろうな。

でも、暗殺対象にそんな感情を抱くなんて論外。

俺は、手に持っていたナイフに力を込めた。

この娘を

ころさな。

誰かが皿を割ったらしく、廊下が騒がしくなる。

潜入させておいたスパイ、役立ってくれとるな。

王女が俺のいるダクトに背を向ける。

「ふーん、上を取っていくぅ！！」

じゃあな、王女さん。

俺は、ダクトから飛び降りた。

"ミッション、遂行完了"

ボソボソと述べる。

すると、インカムから聞き慣れた低音の声。

"了解、遺体は処理班に任せろ"

ふと、彼女に目をやる。

彼女の胸を中心に、俺の足元に咲く紅の花弁。

「あっけないなぁ……。」

思わず呟くと、彼女がこっちを向いて

………微笑んだ。

「……っ！！？」

気味が悪くて、後ずさる。

と、彼女が絶え絶えの息で、喋っているのが分かった。

インカムをオフにして、何を言っているのか確かめる。

『……誰の…？』

「あんたの親父の依頼や、姫さん。」

『………お、父様、の？』

「…せや。……失望したか？」

すると、あろうことか

彼女はまた笑ったのだ。

『…どうせ、私が実験台になることを、心配したの、でしょう…？』

「……ご明察で。」

『お父様に、これだけ…伝えて……。』

「…おん、なんや。言うてみ。」

『愛しています、ありがとう…と…。』

それきり、彼女は目を開けなかった。