おれんじ (ページ24)

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23 気遣いページ24

あんまん半分じゃお腹いっぱいにならんくて

ちょっと遠回りして、チェーン店のラーメンを食べた

『はあ〜うんま〜沁みるわ〜』

「めんま？」

『うまい、って言った！』

「めんまい〜」

『めんまい〜』

「ふふっ」

『あんたが言い出したんやで？』

「いやあんたやろ？(笑)」

『私はうまいって言った！』

「めんまいね〜」

『ごめんねみたいに言うなや(笑)』

席が空いてなくてカウンターに座ってるから

お互い名前じゃなくてあんた呼び

別に決めたことじゃないけど

いつしか暗黙の了解になっていた

中学生の時は僕のことを慰めるために

電車で1時間かけて会いに来てくれた

僕の名前がいろんな人に知られていくのに合わせて

2人の写真をSNSから消してそれ以降載せなくなった

『ラーメン美味しかったね』

「また来ような」

『うん』

「これは僕の奢り」

『ご馳走様ですっ！』

他にもきっと、僕の知らないところでAちゃんは

僕にたくさん気を遣ってくれている

嬉しいけど、寂しい

溜まってるなら抜いてあげる、なんて

たまに変なこと言うけど

それもAちゃんなりの気遣いだとしたら……

『流星』

「ん」

『ありがとね』

お店を出て、また閑静な住宅街を通って、家に着いた

僕が貸したスウェットから自分の服に着替えたAちゃんは

荷物を持って玄関に行ったから、もう帰るんやと思って

見送ろうと僕も玄関へ行ったら、なんだかAちゃんの目が

いつもと違うくて、どうしたんやろって思ったんと

なんだか嫌な予感っていうか、胸騒ぎがした