マネージャーさん ページ4
入社して二週間。
少しずつ仕事も覚え始め、周りの人達とも打ち解けてきた。今セブンティーンは海外のスケジュールはなく準備期間のため、私も清掃業務はなく事務作業を教わっているところだ。
そんな時、マネージャーさんから打ち合わせがあると小さな会議室に呼ばれた。
「おっ、久しぶりだな。どうだ仕事は」
室内には既に椅子に腰かけていたマネージャーさんがいて気さくに話しかけてくれる。入社して二週間経ったがその間彼は忙しかったようで事務所で顔を合わせていなかったのだ。
「お久しぶりです。皆さんいい人ばっかりでとても助かってます」
「そうか、よかった。そういえばメンバーの名前覚えたか？」
あ、そうだった。
自分の事務所のアイドルのことくらい知ってて当たり前だと入社する前からマネージャーさんには言われていて、頑張って覚えようとしたのだが13人もいるものだから顔と名前がまだ一致していない人が何人かいる。ごめんなさい。
「な、"名前は"まあ…」
「"名前は"？？」
「すみません。顔見ても名前出てきません」
「お前なあ…覚えろって言ってから何か月経ったと思ってる？」
マネージャーさんが溜息をつきながら呆れ顔で聞いてくる。
「まあいいか。これから嫌でも覚えるだろうからな」
すみません…と心の中でメンバーの皆さんに謝罪。
「それで今日の本題なんだが…」
とマネージャーさんが話を続ける。
内容はどうやら来月の日本ツアーで早速ホテルの清掃業務をして欲しいとのことだ。
実は昨年のセブンティーンのワールドツアー中、何回かアルバイトみたいな形で清掃業務をしていたので慣れているし、むしろ覚えたての事務作業より2年やっていた清掃の仕事の方がやりやすいのでとてもありがたい。そして日本だ。スケジュール的には一か月は滞在するようなので、休みがあれば久しぶりに祖父母の家に行きたいし日本食が食べれるのも魅力的だ。日本ツアーまでの事務仕事も頑張れそうだ。
一通り仕事内容について説明した後、もうそろそろ来るはずなんだが、と言ってスマホをいじり始めたマネージャーさん。
来る？誰が？
そう思っていると私達のいる会議室のドアがノックされマネージャーさんの返事と共にドアが開く。お疲れ様です、と入ってきたのは一人の青年。
どこかで見たことがあるような…。
その青年がこちらへ向かって歩いてくるのを見ながら必死に思い出す。
「え、リーダーさん…？」
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作者名：曄雨 | 作成日時：2019年11月26日 4時
