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柚樹side
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夢を見た。
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「やだ―…ッ…!」
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真っ暗な暗闇の中に聞こえるAちゃんの声。
それは必死に抵抗しているようだった。
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柚樹「Aちゃん、どこ…?」
「離して…お父さん…ッ…」
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ふと、声の聞こえた方に体を向けると
暗闇の奥で光が照らされていた。
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そこにはAちゃんとお父さんと―…
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横には、倒れているAちゃんのお母さん。
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柚樹「あれは―…」
「もう…やめてよ…」
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解っていた。
傷つけたのはきっとAちゃんのお父さんだろう、って。
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「もう暴力なんてやめようよ…お父さん…ッ…」
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その瞬間だった。
拳を握り締め、勢いよくAちゃんの頬に殴りかかった。
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「Aちゃ―…ッ」
父「お前もコイツを同じようになりたいのか?」
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止めなきゃいけない。そう思って、全力で走った。
けどいくら走ったって近づかない距離。
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「…それ…は…」
父「ほら、出来ないんだろ?コイツを思ってる気持ちはそれっぽっちってことだ。」
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違う、違うよ―…
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「私は…ッ…お母さんが好きだよ…誰よりも…」
父「じゃあ、そこから飛び降りてみろよ。」
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そして指差した先にはベランダ。
二階とはいえ、結構高いはず。
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柚樹「ダメだよ、Aちゃん…」
父「…出来ないだろ?」
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「―…解ったよ。」
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ダメ―…死んじゃう。
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「私がココから飛び降りたら…ちゃんとお母さんを病院に運んでくれるって、約束して。」
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そしてAちゃんはベランダの手すりに座った。
体はコチラを向けている。
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柚樹「Aちゃ―…ッ!」
「私は…お母さんが助かればそれでいい。」
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そして背もたれも何もない空中へと体重を掛けた。
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「柚樹くん―…バイバイ。」
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目から溢れた涙は、悲しく飛び散る。
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「Aちゃん…ッ!」
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全力で走っても近づかない。
いくら手を伸ばしたって届かない。
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Aちゃんはそこから姿を消した。
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―…そこで目が覚めた。
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∞eighterヤス0911∞ - とてもキュンとしました♪これからもがんばってください (2015年11月20日 2時) (レス) id: 0691079db0 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - すごいです!書き方も、参考になりました!ありがとうございます!! (2015年8月2日 18時) (レス) id: 69b8d3345a (このIDを非表示/違反報告)
ユラナス(プロフ) - 初めて読ませて頂きました!文の表現の仕方がすごいです!私も小説書いてるんですっごく参考になりました(*^^*)ありがとうございます!これからも頑張ってください! (2015年7月7日 21時) (レス) id: fadd2adfc6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 更新頑張ってくださいね! 応援しています(*^_^*) (2014年8月14日 7時) (レス) id: 02f5d1e405 (このIDを非表示/違反報告)
碧侑 - キュンキュンで最高ですっ! 番外編が楽しみですっ♪ (2014年8月7日 18時) (レス) id: 3502d5912c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*琳檎* | 作成日時:2012年9月23日 18時