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長すぎる列に並んでやっと先頭に来たはいいものの店内は女子だらけで、どう考えても男一人で来る場所ではない。
適当に食って湊川さんに挨拶したら即帰ろう。
「一名様ですか……え」
「は?」
「キヨじゃん」
いやなんでうっしーがここにいんだよ。しかも店員側はおかしいだろ。
「なんで来てんの」
「いやお前こそな」
「ぜってぇキヨ一人で来るとこじゃないし」
「うるせぇなはよ案内しろ」
俺が一人で来てることに爆笑しながら席に導くうっしー。
Aがいるのは分かるけどなんでうっしー……あ、もしかしてあれかAの言ってたワクワクするってこれか?
なんでうっしーだよバイトなら俺に声かけりゃいいじゃん。
Aにとってうっしーってそんなに特別?
「ほんとだキヨだ」
「はっ、A……」
見慣れないエプロン姿で不思議そうに俺を見てくるA。
おそらくうっしーからキヨ来てるとか聞いて見に来たんだろうけど余計なことすんなよあいつ、俺は一人でこっそりスイーツ食べて帰るだけでいいんだわ!
「ここ私のお父さんの店なんだよ、すごいでしょ」
「知ってる」
「なんで…?」
「お前の父さんと知り合いだし俺」
「え、なにどういう繋がり」
「あーーついにバレちったかー。ま、いいや」
ほんとはバレたくなかったけど、これでもよく隠した方だろ。
一年くらい続いたストーカー(仮)もここで終了か。
「待って分かったかも。お父さんがいつも言ってる人ってキヨのことだったのかな」
「え?湊川さん俺のことAに喋ってんの?」
「ケーキ屋に来てくれるAの同級生が……って話をよくしてる」
「あー、じゃあそれ俺だわ」
「でもたまたまでしょ?すごい、奇跡じゃん」
「なわけねぇだろアホか。Aの父さんの店だから通ってるし、なんなら今日のこの長い列も俺が学校中の女子に勧めたからだし」
もう嫌われても軽蔑されても仕方ない。
友達だとはいえこの擦り寄りはさすがにキモすぎるし、しかも一年間やってんのやべぇだろ。
「ありがとね」
「……は?引かねぇの?」
「こんなに店が盛り上がってるのキヨのおかげってことでしょ?」
こいつ馬鹿なのか。
普通引くだろ、なに感謝しちゃってんだよ。
ていうか、こんなに毎日話しかけたりストーカーまがいのことしたりしてんのに、まだ気づかねぇ?
正直そろそろ気づいてほしい、意識してほしい。俺のこと。
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ゃゅ(プロフ) - いちご丸さん» ありがとうございますめっちゃ嬉しいです!頑張ります!(^-^) (9月15日 1時) (レス) id: fbf309b419 (このIDを非表示/違反報告)
いちご丸 - めっちゃ好きです!頑張ってください (9月14日 21時) (レス) @page1 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゃゅ | 作成日時:2023年8月30日 0時