【実/況/者】愛寵とガムシロップ【uszw】

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「……プレオープン？」

「来週の土日にお店のプレオープンがあって、牛沢くんに手伝ってほしいの」

「良いバイトってそういうこと……」

「時給高めだよ」




断る理由もないしむしろ面白そうだから、期待の眼差しで見てくる湊川さんに「やりたい」と即答した。




「いちごオレとコーヒー貰えますかー？」

「はーい」

「牛沢くんコーヒーでよかったよね？」

「あぁ、うん。てかすごいな、お父さんが経営してるとか」

「Soif de libertéってケーキ屋もやってる」

「ソワ……リベ、なんて？」

「ソワフドゥリィベーテ。ここはその系列カフェ」

「なんかかっけぇな。あれ、でも湊川さんバイトしてるって言ってたけどそれって」

「それもケーキ屋の方でやってる。後片付けだけだけど」

「お父さんの店なら手伝わなくてもお小遣い貰えるんじゃ……」

「そういうの、嫌なの。親のすねかじりみたいじゃん」




ふーん。湊川さんって案外しっかりしてるんだ。
お父さんすごい人でお金もあるだろうに、ちゃんとバイトしてるって普通に偉いよ。
あー、帰宅部いじったの失礼すぎたわ。




「そうだ、連絡先……交換しとこう」

「あっ、うん」




バイトの連絡とかするからね、そりゃ連絡先必要だよね。
分かってはいるけど"連絡先を交換する"っていうその行為自体がなんか恥ずかしくて、素直に湊川さんの目を見れない。


QRコードを読み取るとなると必然的に距離は近くなるわけで。
ふわっと香る湊川さんの甘い匂いに反応して俺の心臓はドキドキと鳴る。


あー、これ、やばいやつか？




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「じゃあ、帰ろっか」




バイトの説明を一通り受け終わるといつの間にか外は暗くなっていた。




「送るわ」

「え？いい、そんなの」

「家どっち方面？」

「多分牛沢くんとは逆だけど」

「送る。暗いし」




こういうの気にせず帰る方がダサいだろ。
これで送らなくて湊川さんに何かあったら絶対後悔するし、半分自己満足みたいなもんなんだけど。







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