.11 ページ11
_____
宿泊学習が終わり、その後の三連休も明けてしまった今日、火曜日。
憂鬱な気分で教室に入る。
良かった、見渡す限りまだあいつは来てないらしい。
あいつ……
『牛沢くん!』
尖った八重歯を見せて笑うキミ。
そんな顔今まで見たことなくて、しかも友達になったのがうっしーだなんて言うのだから余計驚きを隠せなかった。
俺ですらまだ友達じゃないらしいのに、うっしーには一日で友達認定するのかよ。
それか、まさかもっと前から二人は喋ったことあったのか?俺が知らないだけで。
いやそんなわけないよな、だって、
だって俺、一年の時からずっとAのこと見てたし、一番Aのこと知ってるもん。
「キヨ、顔やべーぞ?」
「あぁ?んだようっしー、お前が悪いんだよ全部」
「八つ当たりやめろ」
八つ当たりじゃねーわ、ちゃんとお前だわ。
なんだ?いつまでたってもAの友達に昇格しない俺を煽りに来たのか?
「あー、うぜぇー!!!」
「はぁー?」
-------
高校一年、七月。
来週から待ちに待った夏休みが始まる。
終業式の日に荷物重くなるの嫌だし、今のうちから参考書持って帰っておくか、とロッカーに向かうと、ロッカーの前に湊川さんがいた。
「そこ、ちょっとごめん」と言うと、「あっ」とだけ言って自席に戻って行った。
湊川さん。
俺はこの子のことが一番分からない。
というのも湊川さんだけまだまともに話したことがなくて、授業以外で声を聞いたのはさっきが初めてだった。
それにしても不思議だ。
湊川さん、めちゃくちゃばちこり死ぬほど可愛いのに、なんでいつも一人なんだろう。
うわ喋りて〜、湊川さんの友達第一号なりて〜。
生憎俺は自分から友達をつくるとか大の苦手で、高校でも中学でも入学したてはいつも人から話しかけられるのを待っていた。
話しかけられたらすぐ打ち解けられるんだけど、その最初のきっかけを作ることだけが昔から苦手だった。
あれ、もしかしたら……湊川さんもそうなんじゃねぇか?
話しかけるのが苦手なだけで、喋ってみたら意外と仲良くなれたり……俺と同じタイプだろさては!
「湊川さんって俺と同じタイプだよな〜」
やっぱ話しかけるの苦手だし、相変わらずどんな口調が良いのか分かんねぇけど、お互い様だろ!
そう思ったのに、
「……は?」
-------
159人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゃゅ(プロフ) - いちご丸さん» ありがとうございますめっちゃ嬉しいです!頑張ります!(^-^) (9月15日 1時) (レス) id: fbf309b419 (このIDを非表示/違反報告)
いちご丸 - めっちゃ好きです!頑張ってください (9月14日 21時) (レス) @page1 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゃゅ | 作成日時:2023年8月30日 0時