真夏の真下で君と。 (ページ2)

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教室に戻り席に座ると、俺に気付いた1人の男子が前の席にドサッと座って来た。

「よぉ浮所！お前どこに行ってたんだよ！あとその氷なに？」

コイツの名前は岩崎大昇。昔からの幼馴染。

「見て分からねえ？この俺の悲しみに染まった瞳を見ても？」

「………うん！分かんねえ！で、何で氷なんか抑えてんの？」

コイツの鈍感っぷりには毎回呆れる。失恋したなんて今の俺を見りゃ誰でも分かるだろうに。

「はぁ…別れたんだよ。」

「えぇっ！？あの可愛い子と！？」

「いちいち俺に言わせんなよ。メンタルボロボロだってのに…」

「それはすまねえ！でもお前ら順調だったじゃん！」

「俺が妹と買い物に出かけてたのを誰らかに撮られてたみたいでさ。それが出回って、彼女が俺が浮気したって誤解して、別れ切り出してきたんだよ。」

「今から急いで誤解解きにいきゃいいじゃん！」

「いや、もういいよ。俺も冷めたし。」

これまでもそうだった。俺と付き合って来た女の子たちはみんなすぐに俺が浮気したって決めつけて別れてきた。

それは俺の事を信じてくれていない証拠で、始めはスゲー傷ついた。結局は顔目当てだったんじゃねえかって。それももう何とも思わなくなっちまったけど。

正直付き合うという事自体がしんどくなって来た。また告白されてもどうせ顔目当てなんだろうなって思ってしまうから。

「はぁ……最悪の夏だぜ。」

「元気出せよ！お前モテるんだしすぐ彼女出来るって！帰りアイス奢ってやるからよ！」

大昇が必死に俺を慰めてくれているのは有難いが、今俺の心の中は空っぽになっているのだ。

このすっかり空いた穴はどんな言葉をかけられようと埋める事は出来ない。

ーー1人のある生徒と出会うまでは。