01.寒空 ページ1
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フローリングの床をぺたぺたと歩く気配がする。
そして、カーテンを開ける音。
瞼の奥が明るくなった。
─ほら、A起きて
わたしの背中をさすってゆさゆさと揺らす。
「んーー…」
瞼の奥に映る朝日から逃げるように、枕に顔をうずめる。
すると、
ばさっと上にかかっていた重みが無くなった。
キンと冷たい部屋の空気が、すぐに無防備なわたしを包む。
わたしを起こす最終手段、布団を剥ぐ攻撃。
「さっむ…」
あまりの寒さでまだぼんやりした意識の中で目を開ける。
まだ焦点の合わない視界。
白い壁に、少しある生活感。
起こすことを諦めたのか、
なかなか起きないことに呆れたのか。
…多分、きっと、どっちもなんだろうけど。
台所のほうへ向かう猫背の背中を見送った。
背中が見えなくなったのを確認して、
「あともうちょっと、!」
と、奪われた布団をかき集めて、
ごろんと隣の枕に移動する。
温もりとシーツの皺がちょっと前まで人がいたことを教えてくれる。
いつもはわたしが起こしているから新鮮だ。
少し経つと、炒める音をBGMにして、バターの匂いがしてきた。
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Mare(プロフ) - とても心に残るようなお話で、とても面白かったです。更新停止されている様ですが、続きが気になってしまい、感想を書かせていただきました。無理なさらず、がんばってください! (2018年8月25日 23時) (レス) id: 4b7fd3f8d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽ。 | 作成日時:2018年3月7日 18時