9〜過去篇〜 ページ9
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ーーえ
「俺、宛に？」
「ええ、そこにあるわ」
視界を巡らせれば、机の上に質素な封筒
それを認めた瞬間、馴染みの感覚が身体を支配した
感情と表情を切り離し、本心を悟らせないようにする感覚
「なんだ、夜のお誘いか？」
風間がそう言ってニヤリと笑った
手紙を読んでから、顔を上げて風間に微笑んだ
「うん…そうっぽい
明日、ちょっと夜出てくるね」
傷が癒えた後、積極的に外に行く俺には沢山の友人がいると思っている風間夫妻は、きっとこれが夜会などの招待状だと思っているのだろう
外に出ていたのは、外の情報を集める為
俺を夜会に誘うような友人など居る筈が無い
手紙の差出人の対象なんて、一つしか無かった
寂れた工場跡
向かい合って立つのは、依頼で殺した売人の恋人だったという女
「あなたが、彼を殺した"死神"？」
「そうだ」
肯定すれば、女は怒りに顔を歪めながら怒鳴った
「よくも彼を殺してくれたわね！
私達、もうすぐ結婚する筈だったのよ！」
どんな悪人だろうと、殺しをした事に変わりは無い
全ての暴言を受け止めた後、そっと囁く
「お前の男は、薬を多量に売って多くの人々を不幸に陥れていた
あの男が売った薬で、どれだけの女性がお前と同じような辛い思いをしただろうな」
「黙って！！」
自分本位の哀れな女は、俺の言葉などまるで聞こえないとばかりに叫んだ
だが、顔を上げて見えた女の表情に、俺は全身が冷たい海に放り込まれたような錯覚を覚えた
同じ憎しみを与えようとする、狂った人間の顔
「あなただけが幸せになるなんて、許せない」
ーー風間
向けられた銃口の先に、笑顔を浮かべる二人の影が見えた気がした
撃たれた左腕から伝わる痛みを無視し、闇に染まる道をひたすら走り続ける
足が、肺が限界を訴えていても、それ以上に思考が恐怖で染まっていて、止まる気にはならなかった
『あなたがいる家の方々…今どうなっているかしらね』
歪んだ笑顔を浮かべながら言った女の言葉が木霊する
あの家は、こんなにも遠かっただろうか
「風間さんっ！！！」
家に飛び込んで叫んだ
けれど、その後に続く筈だった安否を確認する言葉は、喉の奥に押し込められ、外に出る事は無かった
家の中は、まるでペンキを溢したかのように赤い液体が飛び散っていた
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crow - Finalの相葉ちゃんに大興奮！！ 色々な名言が生まれたイイお話でした。 (11月21日 0時) (
レス) @page17 id: 437ea3d9a6 (このIDを非表示/違反報告)
crow - Finalの相葉ちゃんに大興奮 (2023年4月24日 0時) (レス) @page18 id: 437ea3d9a6 (このIDを非表示/違反報告)
エリン(プロフ) - ちぇろさん» ちぇろ様、コメントありがとうございます！一気に読んでいただいたと言う事で、感激です…！番外編の方もどうぞ宜しくお願い致します。 (2021年3月6日 22時) (レス) id: befc5e26fa (このIDを非表示/違反報告)
エリン(プロフ) - 櫻宮さん» 櫻宮様、ここまでお付き合い下さりありがとうございました！櫻宮様のコメントに何度励まされた事か…！ありがとうございました！ (2021年3月6日 22時) (レス) id: befc5e26fa (このIDを非表示/違反報告)
ちぇろ(プロフ) - おすすめに出てきたことをきっかけに読ませていただきました。ここまで一気に読み切り、楽しませていただきました。ありがとうございます。大好きです！番外編も楽しみに読ませていただきます。 (2021年3月3日 17時) (レス) id: 84d56b057b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリン | 作成日時：2020年9月19日 11時
