12〜過去篇〜 ページ12
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細くなった声
出会った時の風間のような、憂いを帯びた声音
「もう……充分です」
駆け巡る過去の記憶
地獄も見た
屈辱も味わった
身を焦がす程の怒りも持った
罪も、背負えないくらい背負った
ーー幸福も、知った
「充分だ」
自然と微笑みが浮かぶ
端から見れば辛すぎる人生だろうが、思い返せば愛おしく、幸せだった
そんな殺人鬼に何を思ったのか、目の前の存在の空気が揺れた
「同じような目に合っている子供達を救いたいとは思わないか？」
「俺はそんな情に厚い存在じゃありません」
即答すれば、目の前の存在は黙った
殺人鬼に何を期待しているのか
たった二人救えない者に、何が出来る？
「なら、警察に協力しようとは思わない？」
「いや…」
拒否する毎に、次々と別の案を出してくる人物に、純粋な疑問が浮かぶ
国際的に見て、"死神"は世界中の殺し屋の中でもトップクラスの実力を持つ
それを捕らえた事は大きな収穫だろう
「……何故、俺を生かそうとするんです？」
捕らえた殺し屋を生かそうとする意図が見えない
疑問を投げ掛けると、気配が近付き、するりと目隠しが外された
開けた視界の中には、威厳を持つ白髪頭の男がいた
何故か、微かに目を潤ませている
その顔が、あの時泣いてくれた風間の顔と重なった
「警視庁の志村といいます
……あのさ、俺の直属の部下として、警察に身を置いてみない？」
思ってもみない提案だった
殺し屋に、正義の味方をしろと？
「……正義を掲げる器じゃないですよ」
正義なんて、都合のいい綺麗な言葉でしかない
人はそれぞれ、自分の都合のいい存在や感情を"正義"と称して、欲求を満たそうとする
人が人を殺す事も
警察が国民を守る事も
学校でいじめをする事も
立場によって、それは"正義"と名が付く
そんな言葉、背負いたくもない
「どれだけの人間を殺してきたと思ってるんですか？どれだけの憎しみを、怒りを、悲しみを…生み出してきたと思ってる？」
負の連鎖は止まらない
悲しみは怒りを
怒りは憎悪を呼び
殺意を生み出す
どれだけ生み出してきたと思ってる？
「だからだよ」
ぴりつく雰囲気を物ともせず、志村は言った
「誰よりも、この世の理不尽、不条理を知り
誰よりも、命の脆さを体験していて
誰よりも、"人"というものを理解している」
呟くように言い、彼は悲しげに微笑んだ
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crow - Finalの相葉ちゃんに大興奮！！ 色々な名言が生まれたイイお話でした。 (11月21日 0時) (
レス) @page17 id: 437ea3d9a6 (このIDを非表示/違反報告)
crow - Finalの相葉ちゃんに大興奮 (2023年4月24日 0時) (レス) @page18 id: 437ea3d9a6 (このIDを非表示/違反報告)
エリン(プロフ) - ちぇろさん» ちぇろ様、コメントありがとうございます！一気に読んでいただいたと言う事で、感激です…！番外編の方もどうぞ宜しくお願い致します。 (2021年3月6日 22時) (レス) id: befc5e26fa (このIDを非表示/違反報告)
エリン(プロフ) - 櫻宮さん» 櫻宮様、ここまでお付き合い下さりありがとうございました！櫻宮様のコメントに何度励まされた事か…！ありがとうございました！ (2021年3月6日 22時) (レス) id: befc5e26fa (このIDを非表示/違反報告)
ちぇろ(プロフ) - おすすめに出てきたことをきっかけに読ませていただきました。ここまで一気に読み切り、楽しませていただきました。ありがとうございます。大好きです！番外編も楽しみに読ませていただきます。 (2021年3月3日 17時) (レス) id: 84d56b057b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリン | 作成日時：2020年9月19日 11時
