名前で呼びたい ページ9
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ついに校内放送で呼び出され、後ろ髪を引かれるような重い足取りで教室にもどる。結局三島にトロピカーナ渡して速攻で離れたから、教室にほとんどいなかった。
その時、聞きなれた声が三島の名前を呼んだ。
「キヨー、Aしらない？」
「なに？いないの？」
え、は？こーすけ、いつから三島のこと名前で呼んでんだ？三島が教室に戻ってないことより、断然そっちに気をとられる。
「あっ！清川君いいところに！あの、A見なかった……？」
俺が何も返さずにいるうちに、体育祭の時に告白してきた女子が息を切らして俺の方に駆け寄ってきた。ってか、こいつも名前呼びかよ、俺置いてきぼり？
「いや、俺知らねーよ。何かあったん？」
「俺頼まれごとしてた材料持ってきたから渡そうと思って」
「私は、Aに去年の文化祭のパンフ貰ってきてほしいって言われてたから……」
ホラ、と二人共が手に持っているものを掲げる。しばらく考えた俺は、渾身の一言を放った。
「……何かあいつ、忙しそうだな」
「「今更！？」」
こーすけと女子(リリちゃんだっけ？)の声が重なり、このままだと説教が始まりそうだったので「俺が代わりに渡しとくわ」と目的物を預かって早々にその場を離れた。
「A……」
探す途中、ひそかに三島の名前をぼやいてみる。全然慣れなくて気恥ずかしい。あいつら、よく平気だよな……って、俺じゃないんだから当然か。
「Aー、……ふふっ」
一人の時なら別に恥ずかしくないよな、と思う暇もなく。
「呼んだ？……って、清川……！！」
本来ならいるはずのない空き教室で、足を庇うようにして座り込んだ三島がそこにはいた。
「あ、三島いた」
何事もなかったかのように普段の呼び名に戻し、三島も何も言わなかった。
「あはは、足捻っちゃって。歩けないからしばらく休憩してたの」
「なるほどそれで教室の仕事が回らないからサボってそうな俺が呼び出されたわけか」
外が暗いから電気もつけずにいたら真っ暗だ。教室の一部蛍光灯をつけて、三島に背中を向けて屈んだ。
「ん」
「えっ……」
「歩けねぇんだろ」
お姫様抱っこの方がいいか？わがままだな〜とか煽ってみたら、おもむろに俺の肩に両手が乗せられた。
「……さっき、私のこと名前で呼んでなかった？」
「呼んだ。何か周りの奴が呼んでるのびっくりしてたから」
「うん。……」
ちょうどその時、若干音割れした声で解散を促す放送が流れてきた。
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煎茶(プロフ) - lucoさん» とんでもない、毎度とても元気を貰っていて精神安定剤のような存在ですよ。笑 次作は少し物騒ですが、luco様に気に入っていただけると嬉しいです！ (2018年9月2日 22時) (
レス) id: ea34eab2cb (このIDを非表示/違反報告)
煎茶(プロフ) - トウセさん» トウセ様初めまして、最後までお読みいただきありがとうございました！コメントとっても嬉しいです。短編集で書かせていただきますので、良かったらまた覗いてやってくださいませ！ (2018年9月2日 22時) (レス) id: ea34eab2cb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - どこにでも顔を出す読者ですみません...！完結おめでとうございます！！学生らしいkyさんに固まってた心を綺麗に溶かしてくれる...そんなは素敵な長編に心が温まりました。次作も楽しみにしてます。 (2018年9月2日 20時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
トウセ(プロフ) - 今までご更新お疲れ様でした！番外編も楽しみにしてます！！！ (2018年9月2日 18時) (レス) id: 46e623b35e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：煎茶 | 作成日時：2018年8月15日 22時
