後夜祭2 ページ18
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おまたせ〜！という元気な掛け声とともに、奥のドアが開いて蛍ちゃんが目の前に姿を現す。
遠慮がちに俯く蛍ちゃんは、きらびやかな黄色のドレスを纏ってとっても綺麗だった。
「どう？と〜〜っても可愛いよね！さすがミスコン優勝者！」
「はい。……蛍ちゃん、似合ってるね」
「ありがとう」
彼女の照れ顔に笑顔を返す暇もなく、生徒会委員の一人にぐいっと腕を引っ張られ体勢を崩した。
「次は三島さんだよ。せっかくだから王子コスに着替えてもらいまーす！！」
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「……なんでこんなことに……」
短めの髪はがっちりワックスをかけられ、立派な襟元は金のボタンで首元までしめられ、膝上までしかなかったスカートはくるぶしまで隠すズボンに着替えさせられた。元々蛍ちゃんより高かった身長は、厚底ブーツによってさらに差が開いている。
「三島さん、西欧の王子様みたいだね」
「よ、喜んでいいのかな……。カラコンも入れさせられたし、動きづらいよ」
二人で外に出た途端、色んな学年の色んな生徒から「先輩写真撮っていいですか！？」「一緒に写ってください！！」「うちの出し物のところ寄って！」と詰め寄られた。
「ちょっ、あんま押さないで！」
足首に激痛が走り、思わず本音を叫ぶ。私がとっさに足を庇ったことに驚いた蛍ちゃんが、周りを離して人気のないところに連れてきてくれた。
「あの時すごく汗かいてたのも、足痛かったからじゃないの？」
「……ごめん。まさかこんなことになると思わなくて」
さっきの状況とはうって変わって、人々の喧騒が遠くに聞こえる。時々風が吹くその度に、蛍ちゃんはハーフアップされた髪を押さえた。
「……私ね、三島さんに嫉妬してたの」
横に並んでベンチに座ったっきり、蛍ちゃんは一度も私の方を見なかった。
「去年は、ずっと一人でいる三島さんを見て、どこかでああ、私と一緒だって思ってた。勝手に親近感抱いてた。でも今年になって三島さんは変わった。クラスの人気者に気に入られて、クラスの皆に気に入られて」
「……」
「どうしてみんなは、周りと必死に合わせようって頑張ってる私じゃなくて、好んで一人で行動してる三島さんに構うの？って。……悔しかった。心の中で三島さんが私から離れていくようで」
勝手に親近感抱いてたのは私なのにね、と寂しそうに風に揺れる木々を見上げる。その様子はまさに、この短期間でいかに私に対する周りのイメージが変わったかをあらわしていた。
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煎茶(プロフ) - lucoさん» とんでもない、毎度とても元気を貰っていて精神安定剤のような存在ですよ。笑 次作は少し物騒ですが、luco様に気に入っていただけると嬉しいです！ (2018年9月2日 22時) (
レス) id: ea34eab2cb (このIDを非表示/違反報告)
煎茶(プロフ) - トウセさん» トウセ様初めまして、最後までお読みいただきありがとうございました！コメントとっても嬉しいです。短編集で書かせていただきますので、良かったらまた覗いてやってくださいませ！ (2018年9月2日 22時) (レス) id: ea34eab2cb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - どこにでも顔を出す読者ですみません...！完結おめでとうございます！！学生らしいkyさんに固まってた心を綺麗に溶かしてくれる...そんなは素敵な長編に心が温まりました。次作も楽しみにしてます。 (2018年9月2日 20時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
トウセ(プロフ) - 今までご更新お疲れ様でした！番外編も楽しみにしてます！！！ (2018年9月2日 18時) (レス) id: 46e623b35e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：煎茶 | 作成日時：2018年8月15日 22時
