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13番目の客なんだし、４ ページ39
今日は、としみつくんが旅立つ日。
彼の仕事をしっかりと目に焼き付けてから私服のコートを羽織らせる。
「としみつくん、郵便局で働いていたのね」
「こんなに沢山の手紙ためて、悪い郵便屋さんだよ」
あまりの困惑顔にクスクスと笑ってしまった。
「俺、次にどんな段階が待っているか、見つけて見せるよ」
「私も、追いかけるよ」
不思議と涙は出なかった。
あの時の言葉も聞けなかった。
彼との非日常生活はこんなにもあっさりと終わるのか。
仕事脳に無理矢理切り替える。
ここに来る客達は、この店の秩序を知っても意外と抵抗するものは少なく、中には安堵を見せる者もいた。
一人がやってきて一人が去る。
ただそれが繰り返される。
偶然ではない、意味がある筈だ。
ついに13人目の客が来た。
私の、番。
「人には人の形がある、身の程に会った形がある」
受け売りではない、心から指導している。
バサリ、と今までの想いを込めて切った。
こうして、私の最初で最後のカットは終わった。
風が気持ちいい。
外の空気は、どれくらいぶりだろうか。
ゆっくりと足を上げる。
前つっかえていた足がスっと通る。
やっと私は成しげたのだ。
「「「「「お疲れ様でした」」」」」
自分の車がある方向へ曲がると電話が鳴った。
「あ、社長ですか？やりましたよ！顧客が、」
「…いつ？」
「あ！明日のまでには、」
「違う、今日はいつ？」
「社長自ら顧客の日に行く日じゃないですか！」
何だ、あの日から時間は変わっていなかったんだ。
あの理髪店から時間は経っていなかったんだ。
『ここを出るともう一つの段階があるらしいんだよ』
ふと夜寝る前にとしみつくんが言っていたことが頭に過る。
「この際100件目指しましちゃうよ！」
「ごめん、」
「これで利益もガッポガポに上がって、」
「あなたの言っていることが理解、出来ない」
未だに喋り続けている部下の電話を切る。
あ、あ、
私はとあるものを見て来た道を引き返す。
そこには大量の手紙と共に郵便局専用の自転車が倒れていた。
理髪店を戻ると何故か門だけ残っており、店は無くなっていた。
見えない、見えないよ。
また私をあの秩序の輪の中に戻してよ。
もう囚われない生活は嫌だよ。
これが四段階目なの？
としみつくんは、どこに居るの。
急に離された私はどうすればいいの。
***
大好きな世にも奇妙な物語の『13番目の客』パロでした
彼の仕事をしっかりと目に焼き付けてから私服のコートを羽織らせる。
「としみつくん、郵便局で働いていたのね」
「こんなに沢山の手紙ためて、悪い郵便屋さんだよ」
あまりの困惑顔にクスクスと笑ってしまった。
「俺、次にどんな段階が待っているか、見つけて見せるよ」
「私も、追いかけるよ」
不思議と涙は出なかった。
あの時の言葉も聞けなかった。
彼との非日常生活はこんなにもあっさりと終わるのか。
仕事脳に無理矢理切り替える。
ここに来る客達は、この店の秩序を知っても意外と抵抗するものは少なく、中には安堵を見せる者もいた。
一人がやってきて一人が去る。
ただそれが繰り返される。
偶然ではない、意味がある筈だ。
ついに13人目の客が来た。
私の、番。
「人には人の形がある、身の程に会った形がある」
受け売りではない、心から指導している。
バサリ、と今までの想いを込めて切った。
こうして、私の最初で最後のカットは終わった。
風が気持ちいい。
外の空気は、どれくらいぶりだろうか。
ゆっくりと足を上げる。
前つっかえていた足がスっと通る。
やっと私は成しげたのだ。
「「「「「お疲れ様でした」」」」」
自分の車がある方向へ曲がると電話が鳴った。
「あ、社長ですか？やりましたよ！顧客が、」
「…いつ？」
「あ！明日のまでには、」
「違う、今日はいつ？」
「社長自ら顧客の日に行く日じゃないですか！」
何だ、あの日から時間は変わっていなかったんだ。
あの理髪店から時間は経っていなかったんだ。
『ここを出るともう一つの段階があるらしいんだよ』
ふと夜寝る前にとしみつくんが言っていたことが頭に過る。
「この際100件目指しましちゃうよ！」
「ごめん、」
「これで利益もガッポガポに上がって、」
「あなたの言っていることが理解、出来ない」
未だに喋り続けている部下の電話を切る。
あ、あ、
私はとあるものを見て来た道を引き返す。
そこには大量の手紙と共に郵便局専用の自転車が倒れていた。
理髪店を戻ると何故か門だけ残っており、店は無くなっていた。
見えない、見えないよ。
また私をあの秩序の輪の中に戻してよ。
もう囚われない生活は嫌だよ。
これが四段階目なの？
としみつくんは、どこに居るの。
急に離された私はどうすればいいの。
***
大好きな世にも奇妙な物語の『13番目の客』パロでした
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107(プロフ) - しがないウオタミさん» 赤わーいです！続編がこんなに遅くなってしまって申し訳ないです。 (2018年11月1日 22時) (
レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - 〇したさん» 遅くなってしまって申し訳ありません、やっと続編が出来ました！ (2018年11月1日 22時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
しがないウオタミ(プロフ) - お星様赤色おめでとう御座います！続編とても楽しみにしています！頑張って下さい！ (2018年1月10日 23時) (レス) id: 2a9287a38a (このIDを非表示/違反報告)
〇した(プロフ) - わーい！記念の100票目取れました！続編楽しみです！更新頑張ってください！ (2017年12月28日 4時) (レス) id: 098190420b (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - たちょらーさん» 報告ありがとうございます！直ちに編集しておきますね！ (2017年12月15日 19時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：107 | 作成日時：2017年12月3日 17時
