13番目の客なんだし、２ ページ37
「ハサミを入れる前に、その人の髪をじっくりと観察しなさい」
「毛髪はどう流れているのか、頭皮の立はどうか、」
「人には人の形がある、身の程に会った形がある」
自分の髪の毛をこれだけ観察していることを口に出されてると気持ちが悪い。
やっぱり宗教なのかな。
ノロノロ動作に再びイラつきが戻って来る。
「あの、時間が無いので早くしてください、新人さんの指導は後にしてください」
「時間はあります」
「はい？」
「…時間ならまだまだありますよ」
「としみつくん、お願いだから早くするように言って」
「そうはいきません、この店の秩序ですから」
「…」
その後も訳の分からない指導をしながら私の髪は切られていった。
「「「「「お疲れ様でした」」」」」
「…お疲れ様でした」
思わず私も呟く、髪切ってもらうのに何でこんな疲れなきゃいけないの。
「いくらですか？」
「お疲れ様でした」
「ありがとうございます」
上司讃えて客は無視かよ。
抗議も面倒くさいから財布から諭吉を取り出し椅子に置く。
邪魔な店員達をかき分けて店を出る。
門をくぐる、というところで足を止めた。
いや、止めたのでない、止まった。
出れない。
まるでバリアを張られているかのように。
見えない何かによってこれ以上は進めない。
「何で、何で出れないの」
「始めは、床掃除からです」
「…何」
「さ、行きましょうか」
「やだやだやめて触らないで」
再び店内へと戻される。
「Aちゃん、出れないのは分かったよね？」
「としみつく、」
「それは、俺達も同じなんだよ」
「そうなんです！僕達も最初は客としてやってきたんです！」
「あのっ僕はここに来て２ヶ月くらいですけど、としみつさんは１年近く…！」
「佐々木さん」
「あっ、すみません」
ビクっと佐々木らしき男が止まり、謝る。
やっととしみつくんと話せたのに、何か人が変わったみたい。
店員は12人、私を入れて13人。
客が来ると序列に従って１番の人間が髪を切る。
切り終えるとここを出られる。
つまり私の後、13人目に来る客が真の私の客になるそうだ。
訳の分からない説明をボーっと聞く。
なに、これ。
「あなたは13番目の客の髪を切らないとここから出られない」
「それがこの店の」
「「「「「秩序です」」」」」
全員振り返った先を見ると店員らしきネームプレートの中に私の名前が混ざっていた。
***
２で終わらすつもりだったのに…！
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107(プロフ) - しがないウオタミさん» 赤わーいです！続編がこんなに遅くなってしまって申し訳ないです。 (2018年11月1日 22時) (
レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - 〇したさん» 遅くなってしまって申し訳ありません、やっと続編が出来ました！ (2018年11月1日 22時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
しがないウオタミ(プロフ) - お星様赤色おめでとう御座います！続編とても楽しみにしています！頑張って下さい！ (2018年1月10日 23時) (レス) id: 2a9287a38a (このIDを非表示/違反報告)
〇した(プロフ) - わーい！記念の100票目取れました！続編楽しみです！更新頑張ってください！ (2017年12月28日 4時) (レス) id: 098190420b (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - たちょらーさん» 報告ありがとうございます！直ちに編集しておきますね！ (2017年12月15日 19時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：107 | 作成日時：2017年12月3日 17時
