【東海】さよならシャンソン

切ったら終わる / Shibayu- ページ8

初めて会った時に指切りして誓ったら泣きそうな顔をされた。

あれは、高２の夏。
俺が少し開けた制服を着て、Aも少しボタンを開けていた。

何でAは、泣きそうになったんだっけ。

車で向かっている途中で学生を見かけてからそんなことを思い出した。

無事、てつや家に到着。

玄関を開けた瞬間、Aが飛び付いて来た・
久しぶ、までは言えた。


「お！しばゆー！久しぶり！」
「おやすみ」
「なんじゃそりゃ」
「おはよう」
「おはよーうりうり」
「うりうり父さんが来たぞうりうり」

いつもの様にじゃれ合いをする。
結婚してからこれは、変わらない。

カップルじゃれ合いよりも同性の友達とふざけてじゃれ合っているような感じだ。

その日も無事に撮影も終わり、みんなそれぞれ適当に駄弁っていた。
俺とAは、テーブルでだらーんとなっていた。


「やっぱり連続撮りは、疲れるねー」
「んだな」
「当たり前だけど、その日は同じ服装だからたまに会った視聴者に突っ込まれる」
「分かる、俺も「白セーターお気に入りなんですか？(笑)」って言われたわ」
「語尾に(笑)付いてるのがまたピリっとくるね」
「そう、ピリ辛味の視聴者だったよ」
「強制して激甘にしようか」
「賛成」

ここで指切りの話題を出してみた。
どうして拳同士は良いのに小指同士はダメなのか気になった。


「え、覚えてないの？」
「う、そんなことは、ん、うぅ〜ん」
「覚えてないやんけ」
「ごめんなさい説明お願いします」


「起源は、男女が愛情の不変を誓い合う旨を証拠立てることを「心中立て」と言われてて、」
「あ、確か遊女が客に対する心中立てとして、小指の第一関節から指を切って渡したことに由来しているのは覚えている」
「おいなんでそこだけなんだよ、んで、これにはかなりの激痛が伴う為にそれほど愛してるということを意味し、貰う客も遊女の思いに応えるくらいの気構えが必要であったのね」
「ほうほう」
「でも、実際に切る遊女は少なく、贋物の指が出回ったらしい。そして、この「指切」が一般にも広まり、約束を必ず守る意思を表す風習へと変化したらしい」
「へー」

Aは、頭が良いだけで無くこういう雑学も結構知っていたりするから話をするのが楽しい。
また一つ知識が増えた。


「だから今日も、グーでお別れしましょ」

グっといつもよりも拳に力を入れて返した。







***

指切りのくすぐったい感じね

インモラルマスター / Tetsuya & Shibayu- &Yumemaru & Mushimegane→←ヘンゼルはお菓子の家を食べてしまった / Tetsuya & Toshimitsu & Mushimegane

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