朝が来ないまま息が出来たら / Tetsuya ページ13
あの女は、「てつやに近付くな、私は同棲するんだ」と、Aに言ってきたらしい。
家までバレて怖くなったAは、俺の家にしばらく住むことになった。
「この家で、キャリーバックとか新鮮だわ」
「でしょ」
「それにしても大き過ぎんだろ、何日用だよ」
「10泊」
「海外旅行かよ」
今は、一階で二人布団を並べて寝ていた。
ごろんと、とAが寝返りをした。
「相変わらず、てつや家の布団臭い」
「やめたげてよ」
「褒め言葉だよ」
「どこがだよ」
「その人の家の匂いって、あるじゃん」
「あぁ、確かに」
すぅ、と徐に今自分が被っている布団を嗅いだ。
臭いは、よく分かる。
Aは、口角が上がっていた。
「こうやって、並べて寝るの小学生以来だね」
「両サイドに俺らの弟も居たな」
「懐かしいね」
「懐かしいな」
どすん、と枕返しをした。
「(ぷぅ)」
「ふぅ」
「いや、ふぅじゃなくてさ」
「ん?」
「屁に反応しない女とかAくらいだわ」
「もう慣れっこだし」
「慣れんなし」
外では、カエルの合唱が始まった。
「そう言えばさ、」
「ん」
「賃貸物件雑誌見てたらさ、『マッシュルーム』っていう物件あったよ」
「え、まじ!?」
「これは、まじ」
冒頭に「これは、」と付けた時は、本当の話。
昔からAの癖。
本人は気付いてないけども。
「でも住所にマッシュルームって付くのは、嫌だよね」
「なんかださい」
「あと近所で『ライジング』っていうアパート見かけたよ」
「かっけー」
「これは、まじ」
じわじわと身体が暑くなってきているのが分かる。
しっとりと首回りが汗で大変なことになっていた。
そういえば、エアコン起動するの忘れてたっけ。
よっこらせ、と今にも言いそうな覚束ない感じで起き上がる。
振り返ると、冷たくないAの手の平が見えた。
***
マッシュルームとライジングは、マジでありました
こんな世界は白々しく沈んでいく / Toshimitsu→←ズボンに純情一つ2 / Tetsuya & Toshimitsu & Mushimegane
233人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
107(プロフ) - かのんさん» ありがとうございます!このコメントを見て自分ワクワクしてきました! (2017年10月21日 23時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 毎日の楽しみでこの作品読んでました!続編見て見たいです(^^) (2017年10月21日 23時) (レス) id: 4547495416 (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - Ma-chinさん» ありがとうございます!このコメントが私の励みになります! (2017年10月21日 23時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
Ma-chin(プロフ) - 大好きな小説です!!!続編見たいです! (2017年10月21日 22時) (レス) id: a22175d5dc (このIDを非表示/違反報告)
107(プロフ) - 如月梦【ゆめ】さん» ありがとありがとうございます!たまにうんちくぶっこみたくなります( ^)o(^ ) (2017年8月6日 21時) (レス) id: 1080c52a3c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:107 | 作成日時:2017年7月19日 22時