守護狼～GUARDIAN～ (ページ33)

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phase32 ページ33

*

来る

刻々と

戦いのクライマックスが

その先を邪魔する者は此処には存在しない

シャーロックが分身(・・)した

本体はルプスの背後に回り込み、檻を出現させ彼を閉じ込める

再現そのままなら、ルプスが檻の鉄格子を殴り壊す

…はずだった

「チェックメイト」

レイピアを構え、シャーロックは檻に向かって言った

中には囚われたルプス

「捕まえた(・・・・)」

捕まったルプスが、正反対の台詞を吐く

シャーロックは微笑みながらソレに続いた

「ルプスとサシで戦うかい？それとも僕も共にかな？」

シャーロックが問いを向けたのは

「ねえ？金ちゃん」

ルプスと共に囚われた金色の獅子だった

闘技場の中心で戦っていた二人だったが、徐々に獅子の側へ

正確には獅子が咥える鳥籠に近づいて行った

獅子は現身(うつしみ)ではないため捕らえることはできない

だが、Aとマキナは生身の人間だ

ならば閉じ込められた鳥籠も実物のはず

戦いの最中(さなか)、

そう仮定したルプスは獅子ごと檻に閉じ込めるようシャーロックに指示

仮定が一致したシャーロックも同意し実行

そう、ルプスが捕まえたのはAたちがいる鳥籠だったのだ

「お得意の瞬間移動を使うか？

　だが、この手は絶対離さん。行くなら俺も一緒だ」

獅子が咥えている鳥籠を掴んだルプスの腕は、紅い光を帯びていた

その光は鳥籠も包んでいる

プロテクトで鳥籠と己を同一化した

「さっさと二人を解放してくれないかな？

　この件に関しては僕ものんびりできないよ」

鉄格子の隙間から、獅子の脚元にレイピアが刺さる

「へえ、全く驚かないんだね。ルプス」

「お前が彼女らに当てるとは思わないが…、随分感情的になってるな」

獅子に向けて＝ルプス含めたAたち三人に向けて撃ち込むと同義

その行動はシャーロックらしくない

「僕だって感情があるからね」

そんな会話のなか、突如、獅子の姿に異変が起こる

映像にノイズが入るように、数回明滅したのち消えてしまったのだ

プロテクトで護った鳥籠はルプスの手に残る

だが…

「なぜだ!？」

コロン

叫んだルプスの手から鳥籠が転がる

「どうしたの？ルプス」

ルプスの背後に立つシャーロックには鳥籠の様子が見えない

「いない」

「なん、だって？」

急ぎ檻を消しルプスの側に駆け寄ったシャーロック

目の当たりにしたのは、空の鳥籠だった

*