守護狼～GUARDIAN～ (ページ32)

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phase31 ページ32

*

能力は互角

死力を尽くせば相討ち

それでも後には退けない

かけがえのない少女(ヒト)の為に

デジャヴ？

トレース？

今、二人が繰り広げているのはカジノホテルでの一戦と寸分違わぬ展開だった

それは互いに違和感を抱くほどの正確さで

例え演武だとしても、ここまで再現は出来ないだろうという緻密さだった

(だとしたら…)

ルプスはシャーロックに拳を撃ちつけながら、その瞳を見据えた

シャーロックもルプスの拳をかわしながら、瞳を返した

(どうやら同じ考えのようだな)

互いの口角が上がる

(今だけ踊らされてやる)

過去の戦いを辿りながら二人はその時を待つのだった

*

他方

囚われの少女二人

マキナはAの背中をさすりながら励まし続けていた

そして、

「あなたもIUSで両親を亡くしたの？」

初めて、Aがマキナを見つめた

――― アナタモ ―――

共鳴したのだ

「わたしもだよ」

「っ!!」

初めて、同じ境遇の人間に出会ったA

コクコクとうなずく

「Aちゃん、聞いてくれる？」

ルプスが呼んだ名前で語りかける

「わたしたちは必ず帰れるから」

その言葉はAだけではなく、マキナ自身にも言い聞かせてるようで

「見て、あの二人を」

シャーロックとルプスを指しながら続ける

「わたしたちのために懸命に戦っている

　だから、信じて待とうよ。ねっ？」

緊迫した状況下でも明るく振る舞うマキナ

その優しさと強さに素直にうなずくA

いつのまにか、泪は止まっていた

「ところで…、あのルプスさんは彼氏？」

カレシ？

聞き慣れない単語にAは首をかしげる

マキナも察したらしく言い換えた

「恋人？おつきあいしてるの？」

コイビト？

顔を真っ赤にして首を横にぶんぶん振る

マキナの真意は理解できなくとも、問いは理解した

…やっと

「でもなんかいい雰囲気だったし」

この殺伐とした異次元でもJKの興味はコイバナ

親友が憧れているルプスには大切にしている少女がいた

「あ～あ、リコは失恋か～」

なんて大袈裟に独り言をつぶやきながら、

何の気なしに見やった鳥籠の扉部分

「ん？この形…」

*