phase3 ページ4
*
「 金額が当初の倍になっていますが？ 」
艶やかな唇が笑みをこぼす
さらに愉快そうに輝く瞳
「 新たな依頼よ。ついてきて 」
長い廊下を渡り、吹き抜けのホールを抜け、広い庭に出る
大きな池を桜の木がぐるりと取り囲む
「 アイツらと花見したら盛り上がるな♪ 」
口笛を吹きながら、場違いな感想を言うベイリーの脇腹をキサラギが肘で小突く
反対隣にいるルプスは言葉を発せずに一点を見つめていた
「 視える？ 」
何がですか？
キサラギがそう聞き終える前にルプスが走り叫んだ
「 伏せて！！ 」
ダレカを庇いナニカを撃つ
衝突音が鳴り響いた瞬間、ルプスの体が飛ばされた
地面に叩きつけられる前に体を反転させて着地する
再び弾き飛ばされた場所まで走り出す
ダレカを護るために
「 ルプスは何と戦っているのですか？ 」
「 あれ見てみろ！ 桜じゃない 」
ベイリーが指さす先には一本の桜の木
一際咲き誇っているかと思いきや、
その正体は桜色の衣を纏ったヒトだった
「 あの方を護って？ では敵は…あっ！！ 」
「 フフ、気づいたかしら？ 」
ルプスが飛ばされても戦いを挑むモノ
「 なんだあれ？ 父ちゃんみたいだな 」
「 えっ？トウチャン？ 」×２
マダムとキサラギの声が驚きとともに重なった
ベイリーが
それは
金色の獅子だった
実体というよりは幻影のように浮かび上がる
なんとなく獅子と分かる程度に
「 私はバケシシと呼んでいるけどね 」
「 は、はあ 」
マダムのネーミングセンスに混乱するキサラギ
スルー？ 突っ込む？
いいとこボンボンの彼にはお笑いセンス皆無
「 面白そうだから、俺も加勢してくるわ 」
笑いながら走りだしたベイリーだがそれは徒労に終わる
なぜ？
黒紅の衣の前に桜色の衣が立ちはだかったから
ルプスの腕をつかんで少女は首を左右に振る
もうやめてとでもいうように…
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作者名：姫保
| 作成日時：2021年7月29日 10時
