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phase15 ページ16

*





ルプスは目の前の光景が信じられなかった

先程まで拠点ビルの屋上にいたのだ

今は

廃墟と瓦礫の森が果てしなく続いている

まるでかつての



「六本木?」



五年前の嵐が去った直後の六本木にそっくりだった

そう感じたのは、少し先に見覚えのある建物

自身が身を隠し、異能が発現したマンションだったからだ

タイムスリップ?

ありえないだろ!とは言い切れない←

己が持つ異能や、Aに憑いている金の獅子、ファイナルファクト

超東京には常識では説明できないモノがありすぎる

Aの泪に触れた瞬間起こった全身への圧覚

それはAも同じだったようで、自力で立てずにルプスに倒れ込んできたのだ

Aを支えようと掻き抱いてから数秒?数分?

圧覚から解放されたのち広がる光景

信じられなかった



「Aさん、大丈夫ですか?」



ルプスの胸から顔を離しコクンと頷く

良かったと目を細めAを見つめる

ルプスの腕の中にいることが恥ずかしくなったのか、頬を赤らめながら離れようとする

それをルプスは制した



「離れないで下さい

 今、俺達は非常に危険な状態です」



近くの廃墟から気配を感じたのだ

まるで獲物を狩る獣のような

こちらを品定めしているのだろう

ルプスは思案する

もし自分の推測通り、厄災直後の六本木であれば、まだ政府の支援も無い状態

無法地帯で暴行・略奪が横行しているはずだ

それぞれが生き残るために

Aを庇いながらどれだけ戦えるだろう?

まずは…



「走れますか?」



ルプスに耳元で囁かれたAが小さく頷いた

華奢な肩に腕を回し軽く押し出す



「行きます!」



突然走り出す二人の背に、数人の足音が聞こえた

ルプスは振り返らずに耳だけで相手の人数を把握する

必死に走るAを隣にしてはいささか不謹慎であるが昂りが止まらない

口の端が自然と上がる

どう始末してやろうかと



「右に曲がって下さい」



ルプスに引っ張られながら、やっとついて行くAは息が上がっている

ようやくルプスの足が止まり、もう走らなくていいと安堵したA

しかしその場所は前後左右どこにも逃れられない



「馬鹿だねえ。やみくもに走るから」

「袋小路に入っちまったな」



ゲスな笑いを浮かべながら近づいてくる男達



「二人ともいい服着てるな。装飾品も高そうだし、全部渡しな」

「女は…その後楽しませてもらう」





*

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作者名:姫保 | 作成日時:2021年7月29日 10時

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