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phase23 ページ24

*





「父ちゃ〜ん、早く起きろってば〜!!」



尻尾を掴み、ゆらゆらさせながらビールを飲むベイリーと、



「金ちゃ〜ん、その脚どけて」



自分の上着をふみふみされたまま、金ちゃんの下敷きにされてしまったリュカ



「お嬢さんとルプスさんがずっと二人っきりだなんて耐えられないよ

 何かあったらどうするの?」

「バカか、リュカ。あのストイックな奴がそんなマネしねーよ」

「わかんないじゃないですか。お嬢さん、綺麗だし…」



ビーフジャーキーと日本酒を金ちゃんの鼻先で揺らし、匂いで起こそうとしている

そんなリュカにベイリーが尋ねた



「お前、なんであのお嬢さんにこだわるんだ?」



今までハデスに指示された相手を警護してきた

なのに、今回はやたらA付きを希望しているリュカ

挙句にルプスに敵対心を持っている



「似ているんです」



ずっと忘れられなかった

笑顔で手を差し伸べた年上の少女

傍らには恋人らしい青年もいたけれど

彼らと出会わなければ、自分は悪党に成り下がっていたはず

家族のために



「へえ、それってリュカの初恋?甘酸っぺーな」

「からかわないで下さい」



もう一度会えないだろうか

何度かあのビルに通ううち、

そこは同じ異能を持つ集団の拠点になり、自身もそのメンバーになった



「今夜も帰らないのか?」

「ベイリーさんこそ」

「俺は独り身だから、ここに泊まったってどうってことない

 お前は家族が待ってるだろ?弟たちが寂しがるんじゃないか?」

「今、ROWDY SHOGUNは非常事態ですよ

 二人が戻って来るまでは家に戻れません」

「そっか、ならつき合え」

「はい、でも程々に。金ちゃんがいつ起きても良いように」



リュカは思う

もし、金ちゃんが目覚めて現在と過去を繋ぐあの球体を創ったら

自分が真っ先に飛び込もうと

Aの無事を一番に確かめたい

本当はただ会いたいだけなのだけど…

とりとめのない会話をしながら、夜明けを迎える

会話が途切れ、ウトウトし始めたとき



ムクリ

金ちゃんが起き上がった

ツンツン

ベイリーを爪で軽くつつく



「ん?と、うちゃん?」



ベイリーが抱えている酒瓶に来い来いしている

招き猫ポーズで



「ほい」



金ちゃんに口を開けさせ、酒を注ぎこんだベイリー

美味しそうに飲み込んだ後、また壁に向かって行った金ちゃん

金の球体を再び作るのかと思いきや、



「え?」「は?」



壁を通り抜けて消えてしまった





*

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作者名:姫保 | 作成日時:2021年7月29日 10時

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