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phase21 ページ22

*





時隔て、

同じ空間にいるシャーロックにもその歌は聞こえていた



「いにしえの名曲だね、ルプス」



相対した時も感じていた共鳴性

異能も生き方も違うが、どこかしら通じる部分があった

近い未来、真の世界を取り戻す際は共に戦うときが来るだろう



「あの獅子、電池切れで寝ちまったわ」



よお、とブランデーボトルとグラス二つを持ってやって来たのはマルドゥク



「虜囚に対して好待遇だね」

「これは俺独断の礼だ

 こんな、洒落たモンを飲む奴はROWDY SHOGUNにはいないからな」



先日マダムが差し入れた酒の一本らしい



「まだ二人は戻ってないのに?」



礼をするには早いという意味で問うシャーロック



「アンタの仮説で助ける方法は見つかったからな」

「僕だけじゃないよね

 君は君の仮説に裏付けが欲しかったんだ

 だから僕の意見を聞きに来た。違うかな?」

「お見通しか

 アンタは知識や情報に偽りは盛り込まん。誇りが許さないタチだろ」

「ふふ、褒め言葉として受け取っておくよ」



ブランデーを注いだグラスを掲げ合い飲み干す



「ところで」

「なにかな?」

「アンタはあの獅子の正体を知ってるのか?」

「…情報が少ないんだよね」

「あのお嬢さんはどう思う?」

「そうだね、僕の大切な少女(ヒト)に会わせたいかな」

「まさか怪盗団の仲間にか?ソレは許されないだろ」

「ふふ、彼が黙っちゃいないだろうね」



偽りは盛り込まない

だから確信を得ない情報は言わない



「あの獅子が起きたら作戦決行だ」

「成功を祈ってるよ」



マルドゥクは古書の内容を知っているのだろうか?

ソレが二冊存在することも



「終わったら又来るわ」



ボトルを空になったのを確認して、

マルドゥクは地下から去って行った





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作者名:姫保 | 作成日時:2021年7月29日 10時

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