僕の後輩は鬱陶しい【kwmr】 (ページ6)

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甘いカフェオレをページ6

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「先輩先輩！ココアとカフェオレがあるんですけどどっちがいいですか？！」
「コーヒー」
「やっぱりカフェオレですよね！はいどーぞ！」

　昼食が終わってもやはり奴は人の話を聞かない。

　仕事中は甘いものよりもコーヒーのような苦いものの方がが良いと言っているのに、何度言っても、こいつが持ってくるものはいつだって甘い飲み物で。
　朝っぱらから立華が持ってきたバニラクリームフラペチーノを飲み干すのに、一体どれだけの時間を要したと思っているんだ。

　……それもそれも、俺が結局こうして全部受け取ってるから誤解させているのだろうけど。
　だって仕方ないだろう。奴に罪はあっても、飲み物に罪はないのだから。

「立華さーん、ちょっとこっち手伝って貰えるー？」
「了解です！！お任せください！！」

　仕方なく温(ぬる)めのカフェオレが入ったマグカップをパソコンの横に置いて、「今日のカフェオレはいつもとちょっと違うんですよ！」と熱弁する立華は全力でスルーしておいた。

　……まぁ、俺一人が立華を無視したところで、奴を必要とする人間は多い。
　持ち前の明るさが受けてメディアからの出演依頼はこうちゃんや山本並みにあるし、機械も弄れるから、エンジニア陣の手伝いにもよく名乗り出ている。
　今のもアプリ開発を主に動いている人物からのヘルプだった。

　周りの人間はよくそんな奴のことを〝明るくて元気なうちのムードメーカー！〟だなんて言うけど、俺は異議を申し立てたい。

　ただ煩いだけだろ。

「ちょ、福良さん！！聞いて！！千佳ちゃんから返信きたんだけど？！？！これって両想いってこと？！？！」
「そんなんだからしずくちゃんにウザいって言われるんだよ」
「え、そうなの？」
「まさかの自覚なし？病院行く？」

　そういえば、うちには煩い奴がもう一人居た。『しずくちゃん』と呼ばれているらしいバイトの子にお熱なうちのCEOだ。
　あいつを見ていると意識しなくたって立華の姿が重なる。
　特に、ちょっとしたことで一喜一憂するところが。

「 ……甘い」

　LINE一つで馬鹿みたいに騒ぐ伊沢を横目に、マグカップに口をつける。
　その瞬間、口の中を支配するのは甘ったるいカフェオレの味で。

　……前より甘くなってんな、これ。

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