死神の時間・後編(3) ページ29
「雪目さん。人には隠したいことの1つや2つは必ずある。
だから無理をして言う必要はない。
でも、もしそれを言わないことで君を苦しめ、自分が自身を大切にできない要因の1つなら…。
ここにいるクラスメイト、そして先生が一緒に背負って生きていきますよ」
『殺せんせー…』
皆の顔を見渡すと、皆の顔は穏やかでとても優しかった。
少しうつむき、考える。
『ははっ…ありがとう。本当に心強いよ』
そう言って、立ち上がると同時に上からビッチ先生がロープを垂らす。
そして、ピッと電子音がすると私の拘束具は解かれる。
「Aだけこのロープを登りなさい。他に登ろうとしたり着いてきた者がいれば、Aの首を飛ばすわよ」
「っ、ビッチ先生…」
私は何も言わずに自由になった手を、そのロープに伸ばした。
「A」
『なに？カルマ』
「話は終わってないんだけど…なに？また逃げる気？」
『…私ってば、汚い人間なの。それは一番カルマが分かってるでしょ？
だからいいの。これで…ここで終わっても』
「何言って…」
『ビッチ先生、引き上げてください』
「おーけー」
そう言って、ふわっと浮く足元。
「雪目さん、くれぐれも無理はしないように」
「雪目さん！僕もカルマくんも…皆も待ってるからね！」
殺せんせーや潮田くんの声を後に、私はビッチ先生と合流した。
足を地面につけ、自分の足で自立することを確認し、ため息を1つこぼす。
「まさか、あんたが00チルドレンの…酷いほうだと思わなかったわ」
私の顔を見るなり、ビッチ先生は私にその言葉を向ける。
『ははっ、学校にいるときはそりゃ分かんないよ』
「…ずっと、あんたも苦しんでるのね」
『…うん』
そして、すぐに歩き出すビッチ先生の後ろを追う。
1分もしない間に暗い道に、私はいた。
ガチャリ、と解錠した音が聞こえてそこに目をやると、ただの壁だと思っていたところはドアになり狭い通路が目に入った。
「貴方はここを1人でまっすぐ行きなさい。
逃げることも戻ることももう出来なくなってるから、1人で歩きなさい」
『…うん』
あっさりと返事を返し、その通路を歩き始めると驚いた顔をしていた。が、
「それじゃあね」
そう言い残し、その扉を閉めてビッチ先生は死神の元に行ってしまった。
『これでいい…これでよかったんだよね？
…私』
歩みを止めて、先に続く暗闇を見つめる。
そして、ため息をこぼしてまた歩き出した。
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れれれ(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます！おかげさまでやる気が出ました！笑 ゆっくり更新になると思いますが、これからもぜひご愛読ください！ (4月24日 7時) (
レス) @page7 id: 9952432436 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 続き楽しみにしてます (3月24日 11時) (レス) id: 3fe3017824 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れれれ | 作成日時：2023年12月24日 0時
