死神の時間・前編(6) ページ25
「「「………っ！」」」
全員が息を呑んだ。
近づいてくる足音とは裏腹に、実態の見えないその影。
これが、死神。
「バカが！！」
「ノコノコ出てきやがって！！」
その影に走って殴りかかるは、吉田くんと村松くん。
その影は、2人の攻撃をかわすと同時に2人を気絶させた。
「殺し屋になって、一番最初に磨いたのは正面戦闘のスキルだった。殺し屋には99％必要ないスキルだが、これがないと残り1％の標的を殺り逃す」
そう言う間にも、木村くんも気絶をさせられ、カエデちゃんに攻撃が入る。
と同時に、カエデちゃんの体から骨の砕けるような嫌な音が聞こえる。
『カエデちゃん…！！！』
が、その音は骨が砕けたのではなく、超体育着のフレームが壊れた音なのだろう。
「さすがに女子は脆い。残りの人質は粗末に扱えないな」
死神がポツリと呟くと、潮田くんが皆の間を縫って出てくる。
「どいて…皆。僕がやる」
「渚くん」
潮田くんの目は怒りと殺気に満ち溢れていた。
そして、鷹岡にやったようにねこだましを決め、相手の急所に一撃を入れる。全員が潮田くんはそれをやるんだと思い、信頼していた。
が、
パァンッ
『っ！？』
響くその音は、潮田くんではなく死神の手を叩く音。
なすすべなく混乱したまま崩れ落ちる潮田くん。
そして、そんな潮田くんを横目に残りのクラスメイトを気絶させていく死神。
それはまさしく死神の名にふさわしかった。
『っ！！皆！！』
私とカルマを残し、意識の朦朧とした潮田くんに話を続ける死神。
カルマも諦めたように、でも私のことは守るかのように体勢を立てる。
「クラップスタナ…。君やロヴロのでは単なるねこだましだ。
だが、これにはもう一段階先がある…。
人間の意識の波長が最も敏感な山に、音波の最も強い音波を当てるんだ。
この衝撃は一瞬なんかじゃない。神経が麻痺して、当分は動けなくなるよ」
そう言い、私達の方を向く死神。
「君達は…恋人同士、なんだよね？」
「それが何か？」
「ははっ、実に滑稽だと思ってさ」
『っ、何が言いたいわけよ』
ジリジリ後ろに下がる私達と、ゆっくり近付いてくる死神。
冷や汗が首筋を伝う。
「…いや、中学生の恋愛ごっこは実に愉快だね。大人の真似事して、愉快だ」
その瞬間、死神は私とカルマの間に割って入りカルマを突き飛ばす。
それとは対照に、向かい合わせで死神に抱きしめられる私。
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れれれ(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます！おかげさまでやる気が出ました！笑 ゆっくり更新になると思いますが、これからもぜひご愛読ください！ (4月24日 7時) (
レス) @page7 id: 9952432436 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 続き楽しみにしてます (3月24日 11時) (レス) id: 3fe3017824 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れれれ | 作成日時：2023年12月24日 0時
