死神の時間・前編(4) ページ23
机の上には白い花束。
教室中に行き届いた優しい声色。
"その人"は私達の間に平然と、溶け込んでいた。
「僕は、"死神"と呼ばれる殺し屋です。今から君達に授業をしたいと思います」
困惑する教室内を無視してソイツは話を続ける。
私は持ち歩いている鋭利なダーツの矢に手を伸ばした。
「花はその美しさにより人間の警戒心を打ち消し、人の心を開きます。渚くん、君達に言ったようにね。」
…まだだ。
「でも花が美しく芳しく進化してきた本来の目的は…律さん、画像を表示して」
律ちゃんが表示したのは、拘束されて人質同然のビッチ先生。
…まだ。もうちょっと。
「虫をおびき寄せるためのものです。
手短に言います。彼女の命を守りたければ、先生方には決して言わず君達全員で僕が指定する場所に来なさい。」
そう言いながら、黒板に慣れた手つきでビッチ先生のイラストを描いていく死神。
「来たくなければ来なくていいよ。その時は彼女の方を君達に届けます。全員に平等に行き渡るよう、小分けにして。」
そして、そのイラストに等分の線を入れて。
…今だ。
チョークが最後の線を引き終わるその瞬間、私は掴んでいた矢を死神に投げつける。
周りの生徒は驚いたようにこちらに視線を向けた。
「そして多分次の花は…君達のうちの誰か…そうだね。雪目さんにでもしようかな。00チルドレンの君なら、問題ないだろう」
軽々と矢をチョークで弾き落とした死神に視線を向けられる。
『…上等だよ』
そう言って、死神に近付こうと足を前に出すとカルマが手を掴む。
「上った血、下げろよ」
『っ…』
感情のままに荒い音を立てて椅子に座り直す。
その様子を見た死神は口角を上げて、また話を続ける。
「君達は自分達で思っている以上に彼女のことが好きだ。
そして、人間が死神を刈り取ることなど出来はしない。恐れるなかれ、死神が人を狩るのみだ。」
そう言い残すと、花吹雪とともに教室から姿を消す死神。
その跡の中に残った一枚の地図を磯貝くんは拾い上げた。
「今日の18時までにクラス全員で地図の場所に来てください。か…」
「鷹岡やシロの時と同じだな。俺等を人質にして、殺せんせーをおびき出すのが目的だろう」
「…使うか？」
寺坂くんが手にしていたのは、新型体操着。
「守るために使う…だね？」
全員の気持ちは一緒だった。
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れれれ(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます！おかげさまでやる気が出ました！笑 ゆっくり更新になると思いますが、これからもぜひご愛読ください！ (4月24日 7時) (
レス) @page7 id: 9952432436 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 続き楽しみにしてます (3月24日 11時) (レス) id: 3fe3017824 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れれれ | 作成日時：2023年12月24日 0時
