死神の時間・前編(3) ページ22
バンッと音がして窓が開けられる。
そこには花束片手に怪訝そうなビッチ先生がいた。
「こんなことだろうと思ったわ。あの堅物が、誕生日に花を贈るなんて思いつくはずないもんね」
そう言って、強張る私達の顔をよそ目にビッチ先生は空に銃を発砲する。
すると、にゅやーっ！という声と共に、まるでパパラッチ姿の殺せんせーが降ってきた。
「楽しんでくれた？プロの殺し屋が踊らされて舞いあがってる姿見て」
「それは違いますよ、イリーナ先生。生徒たちは純粋な好意からイリーナ先生を…」
「説得力ないわ！」
そう言ったビッチ先生の表情には、いつもの優しさは見えなかった。
冷たい視線を向け、バラの花束を烏間先生に押し付けて校舎から出る。
「おかげで目が覚めたわ。最高のプレゼントをありがとう」
「ちょっ！」
「ビッチ先生！」
生徒が呼び止めるも、あっけなく校舎を後にするビッチ先生。
「烏間先生！なんか冷たくないっスか、さっきの言葉！」
「まさか…まだ気づいてないんですか？！」
「そこまで俺が鈍く見えるか？
非常と思われても仕方ないがあのまま冷静さを欠き続けるなら他の暗殺者を雇う。色恋で鈍るような刃なら、ここで仕事する資格は無い。それだけの事だ｣
さすがの烏間先生もビッチ先生の想いには気付いていたようだ。
言っていることにも一理はあるし、恋愛において振る振らないは本人達の意思次第だ。
『…』
ビッチ先生の後を見たが、もう姿はなかった。
*
「もう3日か…」
「余計なことしちゃったかな」
あれから、ビッチ先生は学校に来ていない。
「もしイリーナ先生に動きがあれば教えてください。先生、今からブラジルにサッカーを観に行きます！」
生徒の重苦しい雰囲気を横目に、殺せんせーは楽しそうにブラジルに飛んでいく。
『KYすぎるって』
「いうて、AもKYでしょ」
『は？』
桃花ちゃんが電話をかけても出ずに音信不通。
GPSや監視カメラにも気配なし。
ビッチ先生は、まさに雲隠れしたも同然のようだった。
「まさか、こんなんでバイバイとかないよな」
「そんなことはないよ。彼女にはまだやってもらうことがある」
「だよねー！なんだかんだいたら、楽しいもん」
「そう。君達と彼女の間には十分な絆が出来ている。
それは下調べで既に確認済みだ。僕はそれを利用させてもらうだけ。」
私達が、その違和感に気付くのはそう遅くもなかった。
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れれれ(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます！おかげさまでやる気が出ました！笑 ゆっくり更新になると思いますが、これからもぜひご愛読ください！ (4月24日 7時) (
レス) @page7 id: 9952432436 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 続き楽しみにしてます (3月24日 11時) (レス) id: 3fe3017824 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れれれ | 作成日時：2023年12月24日 0時
