ビフォーアフターの時間(3) ページ17
バラバラッと床に何かが落ちる音がする。
そこには、手に握られていたコインチョコがいくつも床に散らばっていた。
『種も仕掛けもありませーん！
なんと、何も無いはずのスカートの中から大量にチョコが出てきたではありませんか！』
「え、なんで？」
「すごい！どこから出てきたの？」
わぁっと大興奮する皆の顔を暖かい眼差しで見る私。
やっぱり子供たちは純粋で本当に可愛いなぁ。
『このチョコ食べながら、まだまだ楽しんでね！』
子供たちだけじゃなくて、E組の子も惹きつけながら私のマジックショーは終幕を迎えた。
「Aすごいじゃん。あんな特技あったんだね」
『まあ、特技っていうかただの荒稼ぎの手段なんだけどね』
子供たちを十分に楽しませたあと、すみれちゃんが皆にご飯を作ってくれた。
私とカルマは、その食器を洗うために2人で洗い場にいた。
「もしかしてAって子供好き？」
『うん。好きだよ』
「意外なんだけど」
『だって、すっごい純粋で可愛いじゃん。大人の一言一句で感情揺さぶられて、捻くれてなんてないから素直に反応しちゃう。』
マジックショーの時の子供たちを思い出してふふっと、笑う。
それを見たカルマの目はとっても優しかった。
『だからさ…大人に変に揺さぶられて、私みたいに子供時代を無駄に過ごさないでほしいなって思うんだよね』
そう言ってカルマと目を合わせると、自然とカルマの顔が近寄ってきて抱きしめられる。
「…そういう風に優しいところ、すっげー好き。大丈夫。これから先は俺が絶対に後悔させないから」
『うん。ありがと』
「あー！なんかイチャイチャしてる！！」
タイミングよく来た子供たちに"騎士カルマとマジシャンAがいちゃいちゃしてる"と言いふらされたのは言うまでもないだろう。
*
「もう1回見せて！どうやってんの！？」
「私は途中まで分かったけど！？」
「だからなんだよ！」
目の前で繰り広げられている兄弟喧嘩。
ここに来てから2週間も経つと、自分に懐いてくれる子は現れるものだ。
兄弟でマジックをやりたいと言ってきた、お兄ちゃんのリキくんと妹のテンちゃん。
『喧嘩することじゃないよ！今度はゆっくりやるからしっかり見ててね〜？』
マジックを再度やり直すと、喧嘩も忘れて釘付けになる2人に自然と笑みがこぼれる。
視界の端で何か影が動くのが見え、窓の外を見ると殺せんせーとここの園長先生がいた。
そう。今日は園長先生の退院日。
ビフォーアフターの時間(4)→←ビフォーアフターの時間(2)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 246人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れれれ(プロフ) - 翡翠さん» コメントありがとうございます！おかげさまでやる気が出ました！笑 ゆっくり更新になると思いますが、これからもぜひご愛読ください！ (4月24日 7時) (
レス) @page7 id: 9952432436 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - 続き楽しみにしてます (3月24日 11時) (レス) id: 3fe3017824 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れれれ | 作成日時：2023年12月24日 0時
