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USJ全体にAの悲痛な呻き声が響く。
叫ばなかった。叫べなかった。
普段から慣れてない激痛にAは叫べず、歯をくいしばることしか出来なかった。
「お前は痛みに慣れてないんだろう？スケープゴート。
お前は安全な後方から支援が常だからな。痛みとは無縁だったんだろ？」
「うぅ…えげつい…お人やねぇ…」
涙で潤った瞳で睨まれて敵…死柄木弔はほの暗い愉悦感を感じた。
まるで情事の後のような始末だった。
涙が膜を貼り、今にも溶けだしてしまいそうになっている目。
暴れたせいか整っていたアシメの前髪も乱雑になっていた。
荒れた息遣いのせいで上下する細い肩。
きっと顔色さえ悪くなければ誰が見ても情事の後だ。
何もそのようなことはしてないのに、どこかその雰囲気を醸し出している。
痛みに耐える声もなかなかにそそられる。
死柄木弔は知らずのうちに口角を釣り上げていた。
「嫌い…嫌いや…」
「片方だけにしてやったのにか？」
「やかましい、アホ…。一番嫌いなんは上のあんさんや…。なんやねん…そこ、あかん言うたのに…」
折られたのは左足の膝だった。
思っていたほど出血は無かった。
それはAがただひたすら痛くない確率を選んだだけだった。
最小限に被害を抑えた確立。せめて綺麗に折られることだった。
「選率！無事か！？」
「あいざわ…くん…？おっそいわ…」
ようやく視界に入ってきた相澤をAは罵る。
しかしその声は完全な嫌悪は混ざっていない。
「来たな、ヒーロー」
「…」
「おい、降りろ」
死柄木弔が命じるとAの上に乗っていた改人、脳無は素直に降りた。
Aという人物を死柄木弔は最初興味だけで連れていこうとした。
しかし、少し喋って死柄木弔はAという人物に好意を持っていた。
特にあの目が気に入っていた。
蜂蜜を煮詰めたような深い琥珀色の目。
あの目に自分の像が映り込むたびに優越感を得られた。
「相澤くん…安心しぃや。
まだ個性は使えるで」
両手でなんとか体を起こしてAは言う。
休むなんてことはしてやらない、と目で相澤に訴えていた。
「…そのガッツを普段から見せろ」
任せるぞ、と遠回しに言う相澤。
Aは微笑みを浮かべて返事をした。
「それは…堪忍してくりゃれ…？」
戦闘が、始まった。
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鯱の助(プロフ) - 京美人に釣られて一気読みしてコロリと落ちました…べらぼうに好きです。だいぶ前の更新で止まっているので旬が過ぎてしまったのかもしれないと思いつつ、読みたいという一心で更新が来るよう祈っています…失礼しました。 (2021年10月25日 3時) (
レス) id: 6ff457e429 (このIDを非表示/違反報告)
セイラ(プロフ) - 主人公が好みすぎて最高です(笑 大変だとは思いますがこれからも頑張ってください！応援しています！！ (2020年4月26日 5時) (レス) id: 5ca5505410 (このIDを非表示/違反報告)
はす(プロフ) - 続きが気になり過ぎて……更新頑張って下さい！！！ (2020年3月30日 0時) (レス) id: ea36bea7ab (このIDを非表示/違反報告)
黒薔薇(プロフ) - これをみて下さっていることを祈っています。本当に面白くて、何度も読んでいます。ご事情も色々とあると思いますが、いつか更新を再開してくださると嬉しいです。 (2020年2月11日 11時) (レス) id: 595b98bf42 (このIDを非表示/違反報告)
アイウ - 更新待ってます！無理をしない程度に！できれば早く！(言動の不一致) (2019年9月23日 7時) (レス) id: 5fd2a8746a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひねのみ | 作成日時：2018年11月26日 15時
