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A「えっ！」
思わず大声を出した。
心臓がドクドクと激しく脈を打つ。
ずっと睨めっこしていたディスプレイに表示されている"小島くん"の文字。
返事を待ち続けていた私にとってはサプライズ。
大丈夫大丈夫、落ち着いて。
咳払いをして声を整えた。
"もしもし"を唱えて発声確認。
―大丈夫、いける。
A「も、もしもし？」
余裕たっぷりな自分を演じたかった私の声は思いっ切り上ずった。
予想外のハプニングに戸惑いつつ、誤魔化す間もなく耳元で小島くんの声が響く。
小島「あ、出た」
電話だと少し声が違って聞こえる。
それすらも緊張を加速させる材料となって、ドギマギして落ち着かなくて。
小島「起きてたんや」
A「あ…うん」
当たり前やん。
起きてたし待ってたし、それ全部小島くんのせいやし。
だけど返信を待ちぼうけていたなんて絶対に言えない。
小島「ふーん…」
A「どうしたん？」
小島「や、ほんまに2人で出かけるんかな〜って」
そっちから誘ってきたくせに、なんて心の中で思って悔しくなる。
小島「ほんまに行くんやったらどこ行くんやろって思って」
そろそろ気付いてくれたってええやんか―
少しも分かってくれない小島くんのことを好きになったり嫌いになったり、でもやっぱり結局好きになったり。
度々"もういいや"って投げ出しそうになるけどやっぱり諦め切れなくて。
当てにならない星占いを毎朝テレビで眺めてはイライラするのにほんの少しの希望ですらも捨てられない。
小島「どっか行きたいとこある？」
ない。そんなん1つもない。
小島くんの近くにおれるんやったらどこでも同じやもん。
A「…小島くんの、」
小島「ん？」
A「小島くんの行きたいとこ行きたい」
出会ってすぐ芽生えた気持ちを温め続けること約2年。
未だに小島くんは私のことを見ようとしてくれない。
ほんの少しで良いからこっちを向いてほしいのに。
気付けば3回生になっていた私達に残されたキャンパスライフは僅かばかり。
いつかは大学生活にも終わりがきてしまう。
小島「俺も同じやねんけど」
A「えっ？」
ねえ、小島くん。
小島「…そっちが行きたいとこ行きたい」
どうか、どうかこの毎日が終わる前に、
せめて1回くらいは私の名前呼んでくれへん？
Fin
Fine Me!/吉田凜音
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ﾋﾟﾝｷ(プロフ) - ふさん» こちらこそ最後までお付き合い頂き、ありがとうございました！またいつか短編集を作りたいと思っているので、是非お楽しみにしていてください☺️ (2023年3月16日 22時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
ふ - この作品すごく好きなので終わってしまうのは悲しいですが今まで本当に有難う御座いました🥺💓短編集が好きなのでまた作って欲しいなとか思ってます😂主様の作品全部好きなのでまだまだ楽しみにしてます(> <)今までお疲れ様でした😌 (2023年3月15日 18時) (レス) @page50 id: 77b65fcba7 (このIDを非表示/違反報告)
ﾋﾟﾝｷ(プロフ) - ふさん» ありがとうございます！とても嬉しいです😌これからも是非楽しんでください！ (2023年3月5日 17時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
ふ - 主様の作品毎日めっちゃ楽しみにしてます🥺✊🏻いつも胸がキュッとなる物語ばかりで読んでてすごく楽しいです(＞＜) (2023年3月5日 16時) (レス) id: 77b65fcba7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾋﾟﾝｷ | 作成日時：2023年2月7日 21時
