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A「ただいま」
正門「ただいまあ」
結局誠也くんとリチャくんに気を遣わせただけで私の気持ちは晴れることなくスタジオから帰宅した。
2人揃って家に帰るのも当たり前になっているせいで余計に悲しみが深くなっていく。
靴を脱いでリビングへ向かう背中を全くの他人のように感じた。
ちっぽけでもいいと思っていた。
そこに確かな幸福があるのなら。
でも良規はもう私との生活に幸せを見い出せない。
"好きとか思えへん"って言葉がその全てを表している。
正門「晩ご飯どうする？」
部屋の隅に置かれているアコギを手に取った良規がそっと腰を下ろした。
正門「どっか食べに行く？」
私もその隣に腰を下ろす。
正門「あ、それかたまには俺作ろか？」
適当な歌を歌う良規の猫背を指でなぞっては安心する。
特別なんてなくても日常さえあれば満足できる。
―だから大丈夫、大丈夫。
A「別れる？」
正門「えっ？」
A「…もう別れる？」
正門「え？…A？どうしたん？」
ギターの音が止まった。
私の顔を覗き込む目を見れないままで窓の外の揺れる木々を捉える。
A「私ら…別れた方がええんちゃう？」
試すようなことはしなくていいと思っていた。
だけど面倒な私の性格上、こうでもしないと愛を測れない。
正門「…何で？」
A「分からんけど、何となく」
正門「…俺のこと好きじゃなくなったん？」
A「うーん…そういうの関係なしに」
ペアのマグカップにはコーヒーの色が沈着してしまっている。
正門「…別れへんよ」
A「え？」
正門「別れへん」
不完全な私達。
見え隠れする互いの本音。
曖昧な愛を育む日々。
でも、
どうかこのままでいさせてほしい。
良規の気持ちが私に向いていなかったとしても、
もう少しだけこうして隣にいさせてほしい。
それが正解か不正解かなんて関係ない。
A「…そっかあ」
ミルクは多め。
甘すぎない、でも苦すぎない。
良規好みのコーヒー。
A「晩ご飯、もうちょっと後にしよ」
正門「うん」
次のオフも着慣れた服でキスをしよう。
明日から暫く都内で仕事だけど、ホテルで互いの部屋を行き来しよう。
デビューしてもこのまま変わらず2人の日々を続けよう。
正門「眠いなあ」
A「うん、私もちょっと眠い」
―それだけを交わして微笑み合った。
Fin
milk/chelmico
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ﾋﾟﾝｷ(プロフ) - ふさん» こちらこそ最後までお付き合い頂き、ありがとうございました！またいつか短編集を作りたいと思っているので、是非お楽しみにしていてください☺️ (2023年3月16日 22時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
ふ - この作品すごく好きなので終わってしまうのは悲しいですが今まで本当に有難う御座いました🥺💓短編集が好きなのでまた作って欲しいなとか思ってます😂主様の作品全部好きなのでまだまだ楽しみにしてます(> <)今までお疲れ様でした😌 (2023年3月15日 18時) (レス) @page50 id: 77b65fcba7 (このIDを非表示/違反報告)
ﾋﾟﾝｷ(プロフ) - ふさん» ありがとうございます！とても嬉しいです😌これからも是非楽しんでください！ (2023年3月5日 17時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
ふ - 主様の作品毎日めっちゃ楽しみにしてます🥺✊🏻いつも胸がキュッとなる物語ばかりで読んでてすごく楽しいです(＞＜) (2023年3月5日 16時) (レス) id: 77b65fcba7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾋﾟﾝｷ | 作成日時：2023年2月7日 21時
