明け方の公園で、独り。(S.S)(S.M) ページ18
※「私はこの広い空を飛ぶ」のアナザーストーリーです。
全部全部あいつのせい。
最近よく眠れないのも仕事が上手くいかないのも全部あいつのせい。
佐野「あれ？」
末澤「ん、佐野お疲れ」
店内のレイアウトについてぐるぐると巡っていた思考が止まる。
佐野「煙草吸ってましたっけ？」
末澤「…ええやんか」
佐野「いや…駄目とは言わんっすけど、別に」
今朝久しぶりにコンビニで買ってしまった煙草。
やめていたはずのそれを吸い込めば一気に口の中に広がる懐かしのメンソール。
佐野「何かあったんすか？」
末澤「いや、何もないけど」
―けど。
別に何もないけど。
今更何かあるわけもないけど。
だって自分から振ったわけやし？
そもそも別れ際には愛情なんて無かったはずやし？
でも全部―
全部全部Aのせい。
煙たそうな表情や細められた目を思い出す。
Aの為にやめていた煙草を別れてからも吸っていなかったことに意味はないはず。
だけどこうしてまた口にしている自分が何だか情けない。
佐野「どんな味なんすか？」
末澤「んー…何やろ、表現すんのムズいわ」
佐野「へー、美味しいんすか？」
末澤「いや、別に。」
Aと別れてからの毎日はまるで泡のよう。
もう取り返せない。
二度と戻ってこない。
あの日々は過去でしかない。
Aとの出会いは店の面接。
初めは完全に恋愛対象外だった。
そのうち何となく目で追うようになって、
子供っぽい露骨なアピールさえも愛おしく感じて、
"ちょっとくらい"と思った次の瞬間には本気になっていた。
Aは俺の為に大学を辞めた。
思い返せば俺もかなり子供だった。
それを正しいと信じて疑わなかった。
今となっては誤った選択をさせてしまったことを心の底から申し訳ないと思っている。
佐野「1本くださいよ〜」
末澤「あかん」
佐野「何でっすか！ええっすやん！」
末澤「佐野はあかん」
佐野「もう20歳っすよ？」
末澤「あかんもんはあかん」
今頃何してんねやろ―
他の誰かと幸せを見つけているだろうか。
それとも孤独に打ちひしがれているだろうか。
後者であればまた2人で混ざり合いたいけれど、
前者であれば俺はもう立ち直れない。
だからこそ連絡をする勇気も会いに行く勇気も芽生えないまま燻った感情と睨めっこを続けている。
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ﾋﾟﾝｷ(プロフ) - ふさん» こちらこそ最後までお付き合い頂き、ありがとうございました！またいつか短編集を作りたいと思っているので、是非お楽しみにしていてください☺️ (2023年3月16日 22時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
ふ - この作品すごく好きなので終わってしまうのは悲しいですが今まで本当に有難う御座いました🥺💓短編集が好きなのでまた作って欲しいなとか思ってます😂主様の作品全部好きなのでまだまだ楽しみにしてます(> <)今までお疲れ様でした😌 (2023年3月15日 18時) (レス) @page50 id: 77b65fcba7 (このIDを非表示/違反報告)
ﾋﾟﾝｷ(プロフ) - ふさん» ありがとうございます！とても嬉しいです😌これからも是非楽しんでください！ (2023年3月5日 17時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
ふ - 主様の作品毎日めっちゃ楽しみにしてます🥺✊🏻いつも胸がキュッとなる物語ばかりで読んでてすごく楽しいです(＞＜) (2023年3月5日 16時) (レス) id: 77b65fcba7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾋﾟﾝｷ | 作成日時：2023年2月7日 21時
