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バイトに行かなくなったのも部屋の空調が効かなくなったのも、
私がこうやって夏に取り残されているのも、全部全部誠也くんのせい。
大学生の頃バイトしていたレンタルビデオショップの社員だった彼。
決して優しくはないしどちらかと言えば愛想もないし、でも時々笑う顔が可愛らしくて仕方がなくて。
そんな彼を好きになるまでの時間はほんの一瞬だった。
小島「何で泣くん？」
A「…悔しいから」
今思えば猛アタックしていた片思い期間はすごく幸せだった。
付き合い始めてからは誠也くんの為に少しでも何かできることはないかと模索し続けるだけで、決して楽しいとは言えない日々が続いた。
それから"結婚しよう"なんて言われ、子供だった私は親の猛反対を押し切って通っていた大学をあっさりと辞めた。
でも結局去年の今頃に振られてしまった。
小島「アイスいる？」
A「…食べる」
別れ際にかけられた言葉が未だにこびりついている。
"俺がおって当たり前のスタンスが腹立つ"なんて、
今まで付き合ってきた彼女に"腹立つ"なんて―
ああ、あかん。また涙出てきた。
情けなくてカッコ悪い自分をどんどん嫌いになっていく。
小島「抹茶とバニラどっち？」
A「んー…バニラ」
誠也くんの中で私とのことはもう終わってしまっているのだろうか。
彼が今は別のどこかで笑っているだなんて信じられないし信じたくもない。
どれだけ考えてもやっぱり悔しいまま。
重たい体を起こして小島からアイスクリームを受け取った。
1口含めば甘さと冷たさが喉を通って体の中に染み渡っていく。
A「…うま。」
誠也くんは最後まで私を知らなかった。
知った気でいただろうけど、彼は何も知らなかった。
私はいつも寂しかったし、
誠也くんがいて当たり前だなんて一度も思ったことはないし、
もっと楽しそうに笑うこともできるし。
A「…働こ」
小島「お、やる気出たん？」
A「ムカつくもん。今年の夏もこのままなんて嫌やし。」
身動きが取れないフリをしてるだけで、もう体は動くはず。
この広い空だって飛べちゃうはず。
ねえ誠也くん、知らんかったやろ？
私、空飛べるんやで？
今年の夏は違う。
去年の夏とは違う。
抜け出してやる。
A「小島、ありがと」
小島「ん、どういたしまして」
誠也くんのことでずっと泣いてた私とはもう、バイバイ。
Fin
BYE BYE/SHISHAMO
明け方の公園で、独り。(S.S)(S.M)→←私はこの広い空を飛ぶ(S.S)(K.K)
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ﾋﾟﾝｷ(プロフ) - ふさん» こちらこそ最後までお付き合い頂き、ありがとうございました！またいつか短編集を作りたいと思っているので、是非お楽しみにしていてください☺️ (2023年3月16日 22時) (
レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
ふ - この作品すごく好きなので終わってしまうのは悲しいですが今まで本当に有難う御座いました🥺💓短編集が好きなのでまた作って欲しいなとか思ってます😂主様の作品全部好きなのでまだまだ楽しみにしてます(> <)今までお疲れ様でした😌 (2023年3月15日 18時) (レス) @page50 id: 77b65fcba7 (このIDを非表示/違反報告)
ﾋﾟﾝｷ(プロフ) - ふさん» ありがとうございます！とても嬉しいです😌これからも是非楽しんでください！ (2023年3月5日 17時) (レス) id: 9e28345530 (このIDを非表示/違反報告)
ふ - 主様の作品毎日めっちゃ楽しみにしてます🥺✊🏻いつも胸がキュッとなる物語ばかりで読んでてすごく楽しいです(＞＜) (2023年3月5日 16時) (レス) id: 77b65fcba7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾋﾟﾝｷ | 作成日時：2023年2月7日 21時
