今日:3 hit、昨日:9 hit、合計:3,205 hit
小｜中｜大
#12 ページ13
ーー「おはよ、じゃあねー」
ひらひらと手を振って教室を出ていこうとする昴くんに呆れる。出会い頭に挨拶をして、授業サボり宣言。こう何日も授業をサボっていては、留年するのではないか、と他人ながら危惧する。別に彼が留年しようがしまいが、私には関係無いのだが。
「今日もサボるの？」
「うん、教科書見てれば内容分かるし」
まあ、確かに彼はそうなのだろう。学期始めのテスト、彼は満点近くの点数を全教科取っていた。頭ひとつ、いや、何個も抜けた頭の良さは私も驚いた。真面目に授業をして受けていない人がと思うと少し憎い。何でもできてしまう人なのだろう。
「あ、教えてあげようか？」
「手取り足取り……勉強じゃなくてもいいよ」
顔が近づけられ、周りに聞こえないように耳元で囁かれる。そんな彼の言葉を聞き流し、自分の椅子に座った。開いた窓から眠気を誘う春のそよ風が吹き、前髪が乱れる。
「つれないなぁ」
「どうやったら仲良くしてくれる？」
机に触れしゃがみ、上目遣いで言う彼に少し悩む。こっちは仲良くする気は無いのだが。
「……秘密を教えてくれたら、とか」
悩んだ末うまい返しが思いつかなかったので、てきとうに言う。教えてくれはしないだろう。昨日の夜はぐらかされた転校してきた理由、名字を嫌う理由を知りたいものだが。
「エグいね……まー、考えとく」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たけしだよ@コイキング | 作成日時：2019年1月29日 21時
