検索窓
今日:1 hit、昨日:9 hit、合計:3,203 hit

#10 ページ11

「なんで名字嫌いなの?」

 小走りで、逃げ道を阻むように彼の前に出た。そして後ろを向き、彼の表情をじっと見つめる。その間、私は後ろ向きで歩いていた。交通量も少なく静かなこの道は、彼に追及する私を邪魔するものは何もない。

「ずけずけ入り込んでくるね」
「そんなに俺のこと知りたい?」

 苦し紛れにからかっているつもりなのだろうが、私は動じずにコクリと頷いた。人の秘密が知りたい、そういう欲求がどんどんと湧いてくる。彼を見上げて、次の言葉を待った。



「……危ないよ、そういうとこ」

 すると突然、腕を引かれる。驚いて抵抗しようと思ったのだが、男性の力には敵わなくて呆気なく彼の胸に飛び込んでしまった。頬が衝撃で小さく痛みを感じる。

 力が緩まれた隙に離れると、横から自転車がベルを鳴らしながら通っていった。その自転車の人に何やら勘違いされたようで、微笑ましそうな顔で振り向かれる。恥ずかしさで顔が熱くなるのを感じた。


「う……ありがとう」

 お礼を言うべきか一瞬迷う。ありがた迷惑というか、腕を引かなくても一声かけるだけで良かったのではないか、と思った。

#11→←#9



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (10 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
8人がお気に入り
設定タグ:スターリィパレット , スタパレ , 有墨昴   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:たけしだよ@コイキング | 作成日時:2019年1月29日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。