日常短編小説《呪術廻戦》 (ページ2)

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「これじゃあ…私の式神も雨で落ちてるだろうな…」

和紙で作るAの式神は水にも火にも弱く、この強い雨じゃあ撃ち落とされているだろうと、足を引っ張り役にも立たない自分に嫌気を差し肩を落とし深くため息をこぼし、申し訳無さそうに狗巻に謝る。

「しゃけしゃけ」

励ます様に狗巻は明るい声でそう言うが、Aにはあまり上手く言葉が通じず暗い顔のまま蹲ってしまった。

「…しゃけ(元気出せ)」

Aの頭を励ます様に優しくゆっくりと狗巻は撫で少し顔を上げるAに笑いかける。

「狗巻はいつも優しいね…」
「おかか！」
「優しいよ、凄く…いつも足引っ張ってる私に優しくしてくれてありがとう」
「ちがっ…」
「？」

狗巻は何か言おうとするが、自分の口を咄嗟に手で塞ぎ、落ちてる石で伝えたい事を地面に書く。

〝能力豊富、俺ら助けられる事多い、瞬時の行動早い俺らのサポートしてくれるA必要不可欠だよ〟

「っ…ありがとう」
「しゃけ」

自分に自信のなかったAは狗巻が笑ってわざわざ書いてくれた字を読んで胸が締め付けられるほどに嬉しくなり泣きそうになっていた。

そんなAにまだ狗巻は言いたい事があるのか、その字の下に続きを書く。

〝お前の抜けてる所俺がカバーする。俺頼ってAは俺が守るよ〟

狗駒はネックウォーマーが無い事を忘れていて、赤くなる顔を隠せず恥ずかしそうにAを見て笑った。

つられてAも顔を真っ赤にしてしまい
狗駒の事を今まで見たいに直視できず、ネックウォーマーに顔を埋め隠した。

「お前らこんなところにいたのか」
「！！」
「二人とも怪我は！？」

禪院とパンダがなぜか洞窟に顔を出して二人を見て大きな葉を持って入って来た。

「なんでここが…」
「なんでってお前の式神だろこれ」

人がすっぽりと入ってしまうほどの大きな葉を二人は傘代わりにしてAの式神に居場所を案内してもらった様だ。

「お前はホント鈍臭いな」
「ご、ごめん二人も…迷惑かけて」
「呪いは私らで退治したぞ」

低級の呪いだったらしく、パンダと禪院はずぶ濡れの仲間を見て顔を見合わせた。

「二人とも寒かったろ」
「火焚いてやるから、近寄れあと上着」

禪院は刀と石をぶつけ今回の呪いのために持ってきた式神で火を焚き、そこで二人の上着を乾かし、パンダは寒そうな二人をギュッと抱きしめて温めた。

「ありがとう二人とも」
「しゃけしゃけ」

おしまい